*注意*
ここから先、非常に不愉快なお話です。
DJキャラがもはや変態そのものっていうか人外です。
やおいじゃないです。今回は二人とも変態です。
興味が無い人は回れ右!クイックエスケープで。
本当に読むんですか?
いいんですか?大丈夫ですか?
ではどうぞ。
その日は白い電灯の光がカーテンから覗いていた。
Allerleirauh …Grim[m] Monster… -Shem×Tsugaru- (Every Friday, My pleasure time.)
おかしいな、とは思った。何故なら、彼女はいつも眠って私を待っているからだ。それが、今日はどうも起きているらしい。忍び込もうと屋根を伝っている時に、彼女の部屋が明るいことに気付いた。
少し、躊躇う。何しろ私はこの姿の時は自前の毛皮しか身にまとわず、また凡そ人間らしい羞恥心というものを失っているようなのだ。出なければ服らしいものの一つも用意して、出歩く時もまとうだろう。平素の私もどちらかと言えば露出に対する羞恥は薄い方ではあるが、それでも下半身を晒して歩こうとは微塵にも思わない。私の問題というよりは、彼女への配慮、彼女への心配とでも言えば良いだろうか。汚れもないような彼女のことだ、きっと男の身体など記憶の彼方にしか見たことがないに違いない。
いつもは暗がりでの行為になるのでそういう心配はしたことがないが、これは、少し困ったな、と私はしばし歩みを止めてしまった。本当に困ったのだ。結局困ったな、とは思いながらも窓の外まで来てみた。窓は空いているし、カーテンも少しばかり開いている。涼しい風が吹いた。短い梅雨の後、少し肌寒い様な日が続いて、こちらとしては売る算段の服が売れ残って多少がっかりとしている。そんな陽気でも、東北生まれの彼女には蒸し暑い、ということはゲームセンターでの会話の中を小耳に挟んだことで知った。
そっと覗き込むと、いつもは読書灯だけがついているベッドの上で、うつ伏せで、足をぱたぱたとお尻に当てるように交互に折り畳む姿が見えた。既に足はありのままのそれだ。可愛いピンク色のパンツがまだまだ子供の様相を残す腰…というか、尻をまるまると包み込んでいる。まだ男も知らないであろうその二つの丸みを帯びた桃のような形の尻の下に、肉付きが良く、しかしたるみのない腿が控えていた。そんな風に無防備では、窓から覗いていく他の誰かに狙われやしないか…いや、その格好でいても大丈夫、という安心感は部屋にいるからこそだろう。しかし多少恥じらってくれ、といいたくもなる。部屋に居ても危険がある、例えば私が来る、とか…いや、考えてみれば私の為にそうしてくれているのであって、つまりそれは、彼女が私のことを思ってくれている、ということだ。そんなことが単純に嬉しくて、つい口に笑みが浮かんだ。
窓枠に足を引っ掛け…ようとして止める。股間がガラ開きになる。というか、別 に見せてもいいのだろうが、どうも、その、最後の良心が咎めている気がしてならない。仕方なく、飛び込む勢いで頭から部屋に乗り込んだ。
四つん這いで着地し、顔を上げると、読みかけの本に指で栞を差し、肩ごしにこちらを見つめている彼女と、目が合った。悪戯っぽく笑って、本を持ったままベッドの上を膝で歩き、ベッドから下に足を降ろすように座り直す。
「こんばんは、狼さん」
いつものように挨拶する。
「ああ、こんばんわ、お嬢さん」
なるべく普通に、話し掛ける。気にした様子もなく、彼女は足をぶらぶらとさせる。そっと、四つん這いの姿勢で近付くと、彼女が微かに声を出して笑った気がしたが、近付く為に顔が下を向いていて、彼女の方を窺う事は出来なかった。
足の間へ辿り着く。軽く首を傾げて意思表示をすれば、こっくりと彼女は頷いた。少し、足が開かれる。
思わず別の方法で彼女を汚してやりたくなった。無防備だ、あまりにも無防備過ぎる。それは誘う仕種と分かっててやっているのだろうか、それとも子供故の無知から、そこに頭を入れれば腿を愛でることが容易いだろうと思ってやっているのか。いや、もしかすると表面 は子供を装いながら、心の中ではそれがどういうことを意味する行動なのか、熟知した上で実行しているのではあるまいか。彼女は中学生という年齢でいながら、その頭の中に大人を抱え込んでいた。そこらの大人よりも明晰であり、また柔軟な脳を持っている。その上、背伸びをしたがる傾向があった。深夜帯のゲームセンターに入り込む、大人に混じって遊ぼうとする…それが自らを大人にしていくと考えているのか、そこに加わる事で大人として扱われていると錯覚しているのか、それは私には知れない事だが、確かにそういった面 があるのだ。それを思えば…もしや、と思ってしまう。
思案の為に腿を眺める格好で動きを止めたままの私の頭に、彼女の手の平が降って来た。ぽすん、と毛皮が…いや、そこだけは私の髪の毛の様子をそのまま残してあるように見えるだろう、その逆立ちを、手の平が押しつぶす。
彼女の方から私に触れてくる事は少なかった。時々悪戯っぽく頬の毛に指を絡ませたりすることもあったが、こうやって手の平で大きな範囲を触る事はかつてない。彼女はそうしながらふふ、と小さく息を漏らして笑った。
「ぼうっとしてる、どうしたの?」
「いや、別に…」
反射的に答えてから別に、そう、別にどうということもないことじゃないか、と自分に言い聞かせた。彼女が私をどう思っていようと、構わない。私はただ、この子の持つ酷く蠱惑的な太腿を、食べるか食べないかのギリギリの選択の中で舐めていたい…それだけなのだ。
彼女に断る事はしない。べたり、といきなり舌を押し付けた。芳しい皮膚と汗の香り、舌を押し返そうとする肉の弾力、それらはこうした逢瀬を繰り返す中ますます私を誘惑する。葛藤も酷いものだ。私の中で二つの欲は相変わらず鬩ぎあっている。今だって、少しばかり牙に引っ掛かったのを感じて、噛みちぎってしまえと叫ぶ獣がいる。それを押さえ込むように、まだだ、と制する理性がいる。どちらの言い分も最もだ。私にとって今、これ以上の御馳走はないだろう。だがそれを喰う愉しみは一度きりで、それは最高に楽しいことだろうと期待は胸を弾ませるが、それをしてしまえば刹那に終ってしまう。まだ、この感触を楽しみたい。一度きりで終ってしまう快楽も楽しいものだが、これはあまりに私に執着心を起こさせる。すぐに無くしてしまうには惜し過ぎた。
そして、その目の前にある、ピンク色の薄っぺらい布一枚の下着の中にある蜜を孕む場所を触ってしまえば、一生喰えないだろうことも予測出来ていた。恐らくそこを、私の欲求が侵した瞬間、彼女は少女ではなくなる。女になった肉体はそれは素晴らしく熟れるだろう。だが、その分だけ瑞々しさを失う危うさを持ってしまう。ならば、まだ彼女には子供らしい張り詰めたものを持っていてもらいたい。肉体が一度や二度の性交で変化するとは思わないが、彼女の精神の変化は身体にも顕われるだろうと、私は信じていた。事実、妹にそのような経験があるかどうかからは目を反らしているが、彼女が子供をやめたであろう頃から、肉体は男を魅了する武器へ変化していったように思う。お陰で虫と馬の骨が絶えずあの子を狙っているが。そうなる、そう確信している。そうなった彼女はきっと、私を拒絶するだろう。彼女には想う人が居る。その男の為に身体を差し出す、その為に私の来訪を喜ばなくなる。なんて、なんて堪え難い事だろう!
夢中になる…いや、無我夢中で彼女のことを考える、そんな私の頭髪や首、頬を時々彼女の手が翳めていく。
が、それが途中で止んだ。飽きたのだろうか、と、上目遣いに見上げると、使い込まれたブックカバーに覆われた文庫本が見えた。彼女はそれを少しずつ捲っていく。
「…何を、読んでいるんだ?」
思わず顔を上げた。はっと彼女は私を見る。
栞はまだ新しいもので、花の形の切り抜きを施された木製のものだった。それをすっとページの間に差し込み、こっくりと一つ頷く。それは何かを肯定しているものではなく、ただそういう動きだったようだ。
「なんだと思う?」
謎掛けに似た笑みを浮かべる。大きな目は細められると急におかしな艶を醸し出すのだ。それは私の鼻にふいと香りそうなほど濃厚で、つい鼻を蠢かせる。意図が掴めず、片耳を水平に倒して、その耳の向いた方向へ首を傾げると、彼女はくす、と口元に指を宛てて笑った。
「当ててみて」
貴方も知ってるわ、と呟く。私も知っている作品、ということだろうか。読書はあまりしない、というか、仕事の方が忙しく、読書をする暇もあまりなく、年間数冊ほどしか読まなくなってしまった。そんな私が知っている作品…一体なんだろうか。童話か、民話ならば、ずっと昔に読んだ憶えもあるのだが、まさかそういったものを読んでいるとは思えない。しかし分からないまま、というのも癪だ。
「ん、んん、ヒントをくれないか…」
少し躊躇ってから催促する。口の端がひくひくと勝手に動く。嫌悪感ではないが、彼女にしてやられている、という気がするのだ。それが滑稽でもあり、また軽いマゾヒズムに喜びすら感じる。彼女にしてやられるというのは、どうにも小気味の良い事で否定のしようがない。所詮私は狼なのだろう、赤頭巾が斧を持って待っている戸口に、態々長い首を差し出すのだ。
「じゃあ、ヒント。尻尾とお話、これでどう?」
彼女は無邪気に笑う。そして、ふと思い付いたようにその腿で私の頭を挟み込んだ。ぐい、と鼻が彼女のまだ大事にしておいて欲しい場所へ向けられる。汗の臭いしかしない、雌の臭いのしない下着が、鼻先にある。
「当てられるまでお預けよ?」
将来酷い悪女になるのではないだろうか。そんなことを考えながら、考え込むように眉間に皺を寄せてみる。とはいえ、尻尾は私にもあるが、お話、ということには検討が付かなかった。一体何の事なのだろう? 悩めば悩むほどに、分からない。それこそ謎掛けと言う名の迷宮の中に、迷い込んだ事になる。
「むう、分からない。俺はあまり読書はしないからな」
わざと、ベ、と舌を出してみせる。すると彼女はクス、と再び笑った。色気よりは健全さを感じる笑みが、今の彼女の服装と行動を、より不釣り合いに、より奇妙な色香を感じさせるように、変わっていく。一体普段はどこにこれを隠しているのだろうか。
「じゃあ、もう一つヒント。白い兎、猫、ドードー鳥、双子、蜥蜴、鼠、帽子屋、発情期の兎、女王」
彼女が「発情期の」と言った瞬間、思わずはっと見上げてしまった。彼女は平静としている。そう、それは彼女にとってはきっとただの単語に過ぎない。頭の良い子だ、自分が口にしている事を、恐らくだが、生物学的な生理現象程度にしか思っていないのだ。
「分かった」
顎を締め付けられている為に、大きく開かない口で答える。自然、声は小さくなるが、彼女には聞こえるだろう。この部屋は他の部屋とは離れた場所にあり、私はいつも声の大きさ等気にせずに喋っていた。
「不思議の国のアリスだ」
やっと心当たりを見つけた。随分昔になるが、リリスにせがまれて読み聞かせた憶えがある。確か、有名なアニメの会社が出している絵本だったはずだ。
「当たり。ね、誰でも知ってるお話でしょ?」
私を挟んでいた至福の塊が遠ざかる。その香りに囲まれているのも悪くない、と思い始めていたのだろうか、ひどくそれが惜しい気がした。
許しを得てしまったので、私は再び足に夢中になった。爪先から付け根に近い場所まで何往復もする。彼女は時々くすぐったそうに笑って、後はずっと私の頭を触っていた。小さい指、小さい手、これも私が人の姿をしていればもう少し大きく見えるのだろうか。繊細に動き、私のごわごわした黒い毛を撫でている。
なんとなく、彼女を飼っているつもりでいた。彼女は私が金曜日に来るのを分かっていて窓を開き、言われるままに足を晒し、私を楽しませる。それは私が彼女に対して威圧や恐喝するような態度で圧迫していたからだと、思っていた。ところが、現実はそうでもないらしい。現に彼女は、今日この日に私が来るのを窓を開いて待っていたのではなく、私を観察しようと灯りを付け、その上私に、足以外へ興味を持たせようと本を持ち出した上、お預けまで喰らわせたのだから! どうやら飼われているのは私、もしくは、彼女にとって私が来る、ということに恐怖以外の何かがあるとしか思えない。しかしそれが分からない。分からないから、私はただ彼女の匂いや弾力や味を楽しんでいる…何故だろう、彼女はまさか、私を知ろうとしているんだろうか?時間が来た。無情にも時間は悩めばそれだけ早く過ぎるものらしい。まだ少し物足りなさを感じながら、顔を上げた。
「今日はこの辺で…」
そして、いつものように立ち上がって、
「また来週来るよ」
と言おうとした。が、来るよ、は口に出来ないままになる。短い悲鳴に遮られたのだ。見れば顔を真っ赤にしてそっぽを向いた彼女。
はっとする。そう言えば今日は部屋が明るいのだった。思わずカーテンで…と思ったが、まさか男の一物に触れたカーテンには触りたくないだろう。とりあえず手の平で隠し…幸いこの身体は手の平が大きい作りらしく、すっぽりと覆い隠す事が出来たので、彼女の目に触れぬ ようにする。
「あ、す、すまん」
彼女は顔を真っ赤にして目を反らしたまま、小さく溜め息を吐いた。
「着ないの?」
単純な問いだった。
「まさか、合うサイズがない」
尻尾穴もない、と冗談めかして言うと、ちらり、と横目で私を見た。む、これはこれで手を退かしてやりたくなるから、私も大人気ない。さすがにしなかったが。
私が見えないように手の平を使って隠しているのを悟ると、少し視線を上の方、極力私の首から上当たりを見ながら、一つ深呼吸した。おっと、どうやら冗談はお気に召さなかったか。真面 目な性分の子だから、からかわれたと思ったかもしれない。
「…もう」
何か言いたいのに言えないらしい。とはいえ時間が時間なので助け舟は出さなかった。
「じゃあ、また金曜日」
それだけ言って、窓から外の木に跳び移る。すると、背後からたた、と駆け寄ってくる足音が聴こえた。
「また、金曜日」
窓から身を乗り出して、彼女は言った。
思わず、頬の辺りの毛が逆立つのを感じる。あまりにその仕種が愛らしく見えた。いけない、とどこかでとめる自分がいるのに、私は首を伸ばして身を乗り出す彼女の頬に軽く口付けた。ほんのお遊びのような軽いものだ。
彼女が何か言い出す前に、と私は素早く身を宙に踊らせた。あっという間に彼女のすぐ傍から学外の建物まで跳び移っていく。彼女の声が聞こえた気もしたが、気のせいにしておいた。それにしても、と帰って来て、気持ちと夜の姿を鎮めながら、つい独り言のように口にした。下着と寝巻きを着込みながら、彼女の酷く誘う様な仕種を思い出す。背伸びにしろ無意識にしろ、あまり良くないな、と、なんとなく思った。どうしてかを追求する前に、さすがに睡魔に襲われてベッドへ潜り込む。
彼女はまだ14才なのだ、と自分に言い聞かせた。彼女はちょっとばかり、配慮や自覚が足りていないだけだ、と。言い聞かせながら思い出すのは、やはり彼女の腿の感触だった。
Allerleirauh Ende
2007/05/06
さて、お久しぶりになりましたがようやく更新というか続きです。
今回はどっちも変態になってしまいましたが、
これで次のお話が最後になります。
結局の所化け物と少女という構図なのですが、
それがどこかで崩れるとすれば、というお話。
どっちにしろセムとツガルの関係はとても微妙です。
顔が見えてないツガルと分かってるセムじゃ考えてる部分も違う訳ですし。そんなわけで次回で終了です。
あれ、もしかしてサイト初最終までの作品?
ダメ管理人ですみませぬ…