『百万年後の世界』感想めも


 ディヴィッド・グリンネル『百万年後の世界』(ハヤカワ文庫SF)読了。はやしさんがつまらないとおっしゃっていたのですが、結局読み切りました。予想とは反して、面白かった!ストーリーはタイムトラベル&未来抗争ものといったら分かりやすい。物語に出てくるガジェットがなかなかユニークで面白い。

 主人公のザガリー・ハレックはアメリカ空軍パイロット。新型戦闘機の試験運転中に謎の飛行物体に出会うことから物語がはじまる。情報部の命を受けた彼は、運命のいたずらなのか優秀な兄カールと元恋人のシルヴィアの夫婦の研究を手伝うことになる。兄を憎むザガリーの前に驚くべき出来事が起こる。緑色の謎の光が兄夫婦を消滅させた時、ザガリーもまた謎の光(別のもの)に吸い込まれてしまう。次に彼が目覚めると、そこは彼の知っている世界とは違う場所だったのだ……。

 実はこの本、アンソロジストのドナルド・ウォルハイムが別名義で書いており、SFの基本をしっかりと押さえて書かれた古き良きSFでした。昔のSFに特徴的なスペースオペラ風の物語で、ヴァン・ヴォクトの『宇宙製造者』や『地球最後の砦』的な感じです。百万年後の世界に主人公は飛ばされるわけですが、百万年後の世界に飛翔してしまったことには、それなりの科学的理由もあり、SF的な味付けがしっかりしていて読ませます。物語の中で、一番びっくりするのは未来人の姿。かなりの衝撃を伴います。さらにまた物語中で重要な役割を果たす完全無敵の巡洋艦12-12-12はいい味出しています。変なメカが好きな人は必読でしょう。ストーリー自体は先が読めてしまうのですが、ガジェットが結構いい味出しているので面白かった。軽い娯楽SFが読みたい、という人にオススメしたい佳品。