『エイリアン・チャイルド』感想めも |
行きの電車でパメラ・サージェント『エイリアン・チャイルド』(ハヤカワSF文庫)を読み終えた。ストーリー自体はすごーく単純なジュヴナイルなんだけど、内容はなかなかシビアなんだ。巻末の古沢嘉通さんの解説によると、パメラ・サージェントはマイノリティ作家でフェミニストということみたいで、日本には紹介されにくい作家みたいなんだ。実際ぼくもあまり彼女について知らなかったんだな。
主人公が少女だっていうところに注目!ぼくは大抵書皮をつけないで堂々と読んでいるんだけど、流石に半裸の女の子と半裸の男の子が表紙だとねぇ……。内容は「エイリアンに育てられる人間の子供の自我の成長を描いたって話」なんだけど、設定がとってもシビア。どうしてシビアなんだ?って聞かれるかもしれないけど、こういうことなんじゃないかなって思った。人類が全滅するような最終戦争が<地球上>で起こってしまったあとの世界が舞台。地球を調査していた二人の猫型のエイリアンがたまたまいろいろな精子と卵子を保存していた部屋で二人を受精させちゃったんだ。そんなわけで人間の子供の育て方なんか知らない二人のエイリアンは研究所施設内を管理している人工知能の知識を借りて、性別の違う子供二人を分離して育てることにしたんだ。そんなわけで二人の子供たちはエイリアンと自分しかいないって思いながら順調に成長していくんだ。ところがある日、男の子の方が主人公の女の子の存在を偶然知っちゃうんだ。自分だけしかいないと思っていたら、自分と同じ人間がいたんだよ、実はって感じ。そこで男の子はうまく主人公の女の子にコンタクトをとって……という展開みたい。
で、面白いのはお互いが出会ったあと、自分たちを育ててくれた猫型エイリアンから親離れして独り立ちしていく過程の心理と独り立ちしてからの少年と少女の態度の変化かな?もちろんお互い惹かれるところが「同胞」という意味ではあるんだけど、さらに猫型エイリアンがいなくなってからの心理描写がいい。お互い依存したくないという気持ちと嫉妬の気持ちの相反する部分がサージェントらしくうまく「友達」という言葉で表されているのかもしれないな。そういう意味では心理描写がうまい作品かなって思うよ。ちなみに訳者の森のぞみさんっていうのはたぶんこの人なんじゃないかな?