『青猫屋』感想めも |
ぼく自身は表紙とかを見ればまあ、そこそこ文明が発達している社会だということがわかるのに、出だしでいっぱい食われました。どーいうことかというと、「おお、何だか江戸時代ぽいじゃん」とか思って途中まで読んでいました。まあお恥ずかしい限りなのですが、途中で読むのを中断していました。それで、最初からちゃんと読んだら「な、なんと!」と驚きの連続でした。いやー、先日読んだブラッドベリ『何かが道をやってくる』とかマキャモンの『少年時代』とか思い出してしまいました。 まさにダークファンタジー!じゃないかと思いました。
やっぱり<青猫屋>の主人廉二郎の粋な若旦那ぶりとその廉二郎が作った特別なキツネの人形を欲しがる住み込みの少年頓痴気とかすべての登場人物がキャラ栄えしているっていうのが見事。途中で出てくるへんてこりんな名前の奴等(花折介とかヤギとか)がどこでクロスするのかとか思いながらわくわくしながら読んでしまいました。作者のうまいところは、彼らの存在を存在足らしめているものが実はこの世界で歌い継がれている<歌>にあったところが憎らしい。だから最後のシーンでああいうことになるわけだなぁと感慨深く読んでしまいました。あのシーンはブラッドベリの『何かが道をやってくる』的でありました。
やっぱりこの作品を読んでいると、楽しそうに楽隊を率いてやってくる不思議な連中、つまりカーニバルへの好奇心、憧れ、そして怖さを彷彿させるんだなぁと実感。だから最後に「欲しいものをいって。」のシーンでああいうことになったわけなんだなと。いやぁ、凄いです。そこで、もちろんキツネの人形の意味がわかるわけなんですが。それと彼らの正体が実は意外な意外な……。唖然としてしまう、という形容がまさにぴったりの作品ではないでしょうか。
ということで、お勧めなんですが、品切れ間近なのでご注意を。大手の本屋にはまだ置いてあるんじゃないかなぁと思いますけどね。