FT用語集その1


◆世界のFT賞◆

 書店で、FT本やホラー本を見かけたときに、”世界幻想文学大賞”、”国際幻想文学賞”と表紙に大きく書かれた単行本やハードカバーを見かけることがあると思います。一体何だろうかと思うかもしれませんが、この賞について少々知識があれば「なるほどね:)」ということになるでしょう。ここでは、主に世界のFT賞について簡単な用語説明を試みたいと思います。

 なお、この部分は主に早川書房編集部編『SFハンドブック』の講座Part2の「世界のSF賞総まくり」(大森望先生による)とサンリオの『SF百科図鑑』(ブライアン・アッシュ編、山野浩一監修)のファンダムとメディアに準拠しています。問題点、不都合点がありましたら下記のメールアドレスにメールをください。


  1. 世界幻想文学大賞(The World Fantasy Award)

     1975年に開催された第1回「世界ファンタジイ会議」の席上、審査員の合議によって決まる。第一回は早川文庫FTでもロングランを続けているパトリシア・A・マキリップの『妖女サイベルの呼び声』が受賞。以下、フリッツ・ライバーやタニス・リーなど現在を代表するSF・FT作家が名を連ねている。ちなみに受賞時にはH.P.ラウクラフトの胸像が手渡される(!)とのこと。

  2. 国際幻想文学賞(The International Fantasy Award)

     人気投票や個人の選択による受賞者決定という慣習が破られた初めての賞。第1回は1951年で、フィクション部門、ノンフィクション部門にわけて、プロ作家の作品を対象に審査委員会によって選定された。1954年にはノンフィクション部門が廃止され、1957年の賞が最後になる。(57年にはすでにヒューゴー賞が権威を確立してしまったためである。)ちなみに、幻想文学賞の割にはFTは少なく、SF作品の受賞が多いのが特徴である。

  3. フィリップ・K・ディック記念賞(The Philip K. Dick Memorial Award)

     1982年に急逝したSF作家フィリップ・K・ディックを記念して設けられた記念賞。ペーパーバックライターであったディックを偲んで、ペーパーバックオリジナルで発表されたSF長編が対象となる。第1回受賞作はルーディ・ラッカーの『ソフトウエア』で、他にはティム・パワーズの『奇人宮の宴』などが受賞している。

  4. ローカス賞(The Locus Poll)

     アメリカのSF情報誌『ローカス』の読者による読者賞。きっかけは、1971年のヒューゴー賞のとき、投票者数があまり少ないのに腹を据えかねた同誌編集長のチャーリー・ブラウンが始めたのがきっかけである。『ローカス』には業界人をはじめとした熱烈なファンが多く、その母集団の少なさにも関わらず、ヒューゴー・ネビュラ賞に次ぐ権威を持った賞となっている。

  5. ブラム・ストーカー賞(The Bram Stoker Awards)

     1980年代のホラーの隆盛を受け、1988年にアメリカ・ホラー作家協会が設立される。その活動の一環として設置された賞のこと。アメリカのホラーファンの投票によって候補作が選ばれ、その後プロの作家の投票によって受賞作が決まる。対象はホラーとダーク・ファンタジー。受賞者に贈られるトロフィーは骸骨やガーゴイルの飾れたゴチック風の屋敷をかたどっている。