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「最終都市」

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Dec.2,1998 (Wed)

アーサー・C・クラーク『宇宙島へ行く少年』(ハヤカワ文庫SF)

 クイズ番組に優勝した少年がその賞品として低位宇宙ステーションへ行くというお話。ものすごくすがすがしいジュヴナイルである。宇宙への憧れを抱いた少年がその夢を実現させて、短い期間ながら色々な体験をし、成長するというもの。その一方で宇宙ステーションの構造やらランデブーの仕方、さまざまな宇宙ステーションの役割など、ハードの部分の細やかな描写もジュヴナイルとは思えないものだ。SFを始めて読もうという人にはジュヴナイルを読んでもらうのがいいんじゃないかと思った。この本自体そんなに分厚くないのでぜひ機会があったら手にとって欲しい。

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Dec.3,1998 (Thu)

F・マリオン・クロフォード『妖霊ハーリド』(ハヤカワ文庫FT)

 天野喜孝のエスニックなイラストが物語っているように、イスラム教世界をあつかった奇書である。ヨーロッパ人であるクロフォードがどのような物語を構築したのか、興味深く思っている読者も多いのではないだろうか。

 ハーリドと呼ばれるジン(風の精霊というよりも妖魔の方が正確かも)がある日不信仰者で偽善者というあるインドの王子を殺害する。なぜなら彼は天下一(イスラム一といった方がいいのか)の美女ジフワー姫と結婚しようとしていたからである。王子を殺すことでハーリドは姫を救ったのである。ところがアラーの神は勝手にジンが王子を殺害したことに対し、罪を与えジンは魂のない人間として地上へと堕りることになるのだ。彼が魂を得るためには王女の愛を勝ち得ねばならず、ハーリドに大変な試練を与えられたのであった……。という感じ。

 イスラム世界を舞台としたの小説の魅力はその世界自身だと思う。エフィンジャーの<ブーダーイン三部作>もそうなのだが、イスラム教の戒律にのっとった人々の言い回し、風変わりな登場人物などなどが読者をぐんぐん世界へと引き込んでくれる。この本を読む前に井筒俊彦先生の本を一読することをお勧めする。イスラム世界の小説を読んでいるときのイマジネーションが倍増する。まあそうではなくてもぐんぐん引き込まれる小説だとは思う。お勧めのアダルトファンタジー。個人的にはジフワーもいいのだが、やっぱりアルマスタでしょう。愛のためになら……っていうことがよーくわかる。

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Dec.7,1998 (Mon)

児島冬樹『夢幻界』(角川文庫)

 角川文庫のファンタジーフェアで発売された本のようだ。ある時、オンディーウという名前を持つ少女が目覚めると、上半身にブレストプレート、背中には天使のような羽、そして下半身はうっとりとするようなペガサスの下半身を持っていることに気がつく。自分は何者なのか?と記憶を求めて、彼女はウォッチャーと呼ばれる<案内人型生物>とおかしな名前を持つネズミたちに導かれて冒険をするのだが……。

 えーっと、ジュヴナイルファンタジーとしては盛りだくさんで楽しめました。加藤&後藤コンビのイラストが想像力を掻き立て、一気に読み終えました。ペガサスの体を持つ少女の謎、冒険の惑星と呼ばれる世界、途中出会う異形のモンスターたちと自分と同じ姿をしたラモンと呼ばれる男性との関係などなどあっと驚かされること請け合い。ラストに多少不満があるものの、こういう作品を読めたことに感謝。やはりヤングアダルト小説にも手を伸ばすべきなのかと……。言葉ではうまく言い表せないのですがぼく自身の感性に見事はまってしまったというか、そんな感じの作品だ。#傾向的にこーいう雰囲気の作品に弱いらしい。今までも教養文庫から出ている<魔剣伝説>シリーズは反射的に涙がじわりとしてしまう作品で、青年期のぼくに与えた衝撃は大きかったと思う。それ以来ファンタジーがますます好きになったのはいうまでもありません。

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Dec.12,1998 (Sat)

矢野徹『ウィザードリィ日記』(角川文庫)

 作家で翻訳家の矢野徹さんがパソコンを導入してからの悪戦苦闘ぶりを日記風にアレンジしたエッセイ集。描写が古いのはパソコンがまだ徐々に普及しつつある時代の産物だから。衰えぬ情熱を持ってパソコン技術を習得する矢野徹さんの姿には感激。途中Hな妄想も入るわ、愛・蔵太さんも登場するわで、何だかびっくりしました。データベースの入力の問題は本当にやっかいだなぁといまさらながら思いましたが。現在でも今まで購入した本と読了本の整理用のデータベースは作成してみたいのだが、時間がかかりそうで断念せざるを得ないか?パソコンに苦しんでいる方々はぜひ矢野徹さんの奮闘ぶりを読んで、パソコンで遊んでみてください。

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Dec.13,1998 (Sun)

横田順彌『奇想天外殺人事件』(講談社文庫)

 早乙女ボンド之介シリーズ。先に『混線乱線殺人事件』(徳間文庫)の短篇だけをちょっと読んでしまったのだが、こちらは今まで読んだヨコジュンのハチャハチャの集大成ともいえる。主人公はとりあえず早乙女ボンド之介。とにかく笑わせてもらった。感想を書くにも書けないのだが、やっぱりこのスラップスティックさが魅力かなといつも思う。しかしメグレ警部ならぬ、真暮警部にはまいった。名刑事ならぬ迷刑事か?いつも食事中に現れてボンド之介の食事を食べてしまうというとんでもない刑事だ。(まむしドリンク入りチャーハンライスってどんな味なんでしょうかね。(笑))

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Dec.28,1998 (Mon)

横田順彌『対人カメレオン症』(講談社文庫)

 これも『13の超小説』に劣らぬも負けじ、ちょー馬鹿馬鹿しい話ばっかりの短編集だ。内容にふれると今後読むと思われる奇特な人々に悪いのであまり触れないが、とにかくくだらない。下らないとかバカというのは最大の賛辞ということを一応明記しておく。だからぼくはヨコジュンのハチャハチャが大好きなのだと痛感。ハチャハチャの効用について考えてみたのだが、やっぱり日本語のセンスがないと楽しめないということ。さらに駄洒落やごろ合わせに対してにやりとできるセンスがないとだめということなど、実に言葉遊びに近いものがある。ぼくがヨコジュンが好きなのはその突拍子もないカフカ的不条理とヨコジュンが苦心して作り上げたと思われる駄洒落の集大成のハチャハチャ短篇が自分の脳を再構築してくれるからだと思う。なので日本語でしか読めないヨコジュンのこのハチャハチャの世界を楽しめることは日本人に生まれてよかったと思う瞬間の一つだ。

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Dec.29,1998 (Tue)

横田順彌『13の超小説』(徳間文庫)

 ヨコジュンも「本書は面白い作品集です。買おうか買うまいか迷っているようでしたら、ただちに買うことをお薦めします。(略)」といっている通り、読んでいる途中であきれて読むのをやめようかと思ったほどくだらない!短編集だった。しかしまあよくこういう駄洒落を考えつくものだとあきれながらも読んでしまった。あー、下ネタ多いっす。しかしまあ、「奥様は魔女!?」には参った……。他にも「わさびとともに去りぬ」なんかはもう途中で本を投げたくなってしまったくらいだ。究極のはちゃはちゃ集でしょうか。ヨコジュンのハチャハチャは即効性ではなく、遅効性なのが難点で、突然まじめな席でこのギャグが出てきそうなので恐ろしい。でもそんなヨコジュンの作品集をこよなく愛するぼくにとってはそういうこともまたヨコジュンの一ファンとしては光栄なことだと思った。

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