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カナダに戻る際に、成田空港で購入した一冊。何となくタイトルと、本のダイアモンドという宣伝文句に惹かれました。4月から5月にかけて勉強の合間に少しずつ読み進めて、中旬頃に読み終わったと記憶しています。物語の構成が面白くて、現在と過去、そして登場人物をうまく交錯させることによって、うまく因果関係を美しく結び合わせることに成功したダイアモンドという言葉がぴったりの素晴らしい小説。最初は麻薬の運び屋のしがない人生を書いた小説なのかなと思っていましたが、全然そうではなかったです。読後の感想は「流れ行く川の中にただ静かに身を委ねたときの気分」でした。
主人公のエイホンの現在、そして過去にまつわる因果関係(どうして彼が麻薬の運び屋になったのか)が明らかになるにつれて、段々とエイホンの視点に同化させていく自分を感じました。アクセルとの出会いと性初体験がエイホンのレールをそらせ、そしてゆっくりと彼の人生軸が一つの収束点に収束していくプロセスを感じることができました。なんというか、高速まき戻しで1人の男のささやかな人生に読者自体を同化させることに成功させた小説として、見事としか言い様が無い。麻薬の受け取り屋の女性についても実はあっと驚くエピソードがあって、そうきたか!とびっくりしました。第五章の「洞窟」で、いままでばらばらだったと思うパズルのピースが突然組み合わさったような感覚に襲われるのではないかと思います。各人が違う結論を持つかもしれませんがきっとそうであってほしい、どうしてあのときにエイホンはこの選択を選んでしまったのか、感じることでしょう。なんというか、運命が彼にそうさせたという感覚に襲われるかもしれませんが、クラベーはきっと本という形で、運命という目に見えない何かを物語の中に封じ込めることに成功したのではないかとぼくは思いました。純文学といってもいい作品だと思います。

一巻目を読み終えてから間が空いてしまった。色々と忙しかったこともあり(途中、指輪物語とか色々と浮気していたこともある)、ゆっくりと読んでいた。先日ようやくすべてが一段落したので久々に青背が読みたくなったこともあり、一気に読了。一巻目から感じていたことなのだが、近未来を設定したフィクションSFということもあり、現実の技術との対応が面白い。主人公の1人であるランディたちの会社は未公開株式会社で、出資者の1人である歯医者がTOB前に訴訟戦略で、未公開株式を10%購入するくだりとか、歯医者がいちいちエピファイト社の経営に口をはさむ部分など「経営者は株主(もしくは出資者)の利益を最大化する存在である」という思想がよくわかっていていい。個人的には近未来篇の話が現実風味のフィクションとしてとても面白く読んでいる。
1巻目で影が薄かった後藤伝吾も2巻目でようやく活躍。今回は過去の部分に血なまぐさいシーンも多く、場所も点々とするので情報を整理しながら読むのが大変だった。コードブレイカーのウォーターハウスが中国からイギリスに。ボビー・シャフトーもまた特殊部隊に編入されて色々な場所を転戦する。ドイツ軍のエニグマ暗号と日本軍のインディゴ暗号がどのような形でコードブレイクされたかはともかくとして、山本五十六の死やUボートの撃沈など、実際のデータおよびその統計と理論がどのように深く関わってきたのか、先人たちが頭を悩ませてきたのかが感じられる。
物語が段々と陰謀やカオス風味を帯びてきて、緊迫感が出てきた。一巻目は暗号がどのように生成されるかなど、理論の部分に主眼を置いていた感がする。二巻目は、戦争冒険小説を読んでいる感じ。近未来部分は泥臭い企業間のネゴシエートがなかなかいい感じ。二巻目を読んで感じたのだが、微妙に読者を選んでしまう作品かも。こういうコーポレートウォーズ系や戦争冒険系が苦手な人は結構つらいかも。山田正紀ファン的にはかなりテイストが似ているので、お勧め。3巻目はたぶん飛行機の中にて。