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復刊ドットコムに「夢の国のリトル・ニモ」の復刊をリクエスト。ご協力お願い致します。
e-NOVELSさんの書評モニターを引き受けさせていただきました。今後、モニターサイトとして定期的に「e-NOVELS」販売作品の書評をアップしますので、ごひいきのほどをよろしくお願いします。当サイトのほかに、フクさんの「SPECIAL REVIEW OF e-NOVELS」、政宗九さんの「e-NOVELSモニター」、嵐山薫さんの「e-NOVELS作品書評」、紅蓮魔さんの「e-NOVELSインプレッション」でも各種e-NOVELSの作品が紹介されているので、購入の際のご参考になれば幸いです。今後、書物の帝国のトップページに別枠で紹介していく予定です。
で、当サイトが選んだ第一回目のモニター作品は妹尾ゆふ子さんの恋愛小説です。
妹尾ゆふ子さんといえば、タニス・リーやジェイン・ヨーレンを髣髴させる作風で読者を魅了して止まない異世界ファンタジーの書き手の一人。そんな妹尾さんの初期の同人作品が入手できる喜びをかみしめながら、読ませていただきました。妹尾ゆふ子さんの作品を読んでいると、「根底に流れるやさしさ」を感じることがある。本作品においても、そんな優しさを作品の節々に感じられた。都会の喧騒に疲れた読者にはうってつけの作品だと思う。本作品は3篇の短編(「no problem」「wish you were here」「love letter」から成っており、作者あとがきによればもともとは同人誌で発表された作品であり、e-NOVELSのために挿絵なども書き直したという。そういった意味でも、大変興味深い物語であるということを付記しておく。
何となく都会に出てきて時間の流れに戸惑いを感じている主人公の男性と、都会に順応しつつも、実は違和感を感じている恋人の女性との不思議なやり取りを描いた作品。ある日二人で出かけたレストランの帰り道。カップルの日常にありふれたデートの光景が一転して、不思議なやりとりに転換する。衝撃的な彼女の「最近クレジットカードを持ち歩かないのね」という問いかけ。なぜクレジットカードを男は持ち歩かないのか?彼自身の潜在意識にある違和感の表れだったのだ。その違和感が増大したとき、男は恋人に一時の別れをつける。世界が滅びる前に、彼が見つけたいことを見つけるために(「no problem」)
そして時が流れ、ある日突然彼女のもとに手紙が届く。彼女が読み始めようとしたその直後、彼から電話がかかってくる。どうとも思っていなかった彼女。彼が元気でやっていることを知り、そして彼が彼女のことを忘れずにいてくれたことを知り、思わず彼女は電話口で泣いてしまう。そして彼は電話の向こうで「ぼくはここにいるよ」と彼女にやさしく返事をする。そして彼女は電話の後、あなたはそこにいるけど、ここではない。もしあなたがここにいてくれたら、と思う。(「wish you were here」)
また時は流れ、彼は田舎の山奥で静かにひっそりと暮らしていた。そんな間でも細々とやりとりを続けていた二人。そんなある日突然彼女がちらし寿司を手土産に彼のもとを訪れる。彼女の何気ないしぐさ、彼女とのやり取りが、確かに都会から離れ彼女のもとから離れた彼に、いとおしいものへと変化していった。彼女の存在が彼の中でしっかりと根付いていたことに彼は気がつく。そして彼は彼女のそばにいたいという意思を手紙で伝えることにしたのだった。もし君がそばにいてくれたのなら……。(「love letter」)
恋愛のカタチというのはいろいろととあると思う。近くにいないとダメというカップルもいれば、一度別離してみてお互いの存在をますますいとおしく感じるようになったカップルもあると思う。本作品は特に後者の人たちを応援していると思われる作品である。陳腐ではあるが、都会=彼女という図式をあてはめるとすれば、主人公の彼はすべての事象への距離のとり方に疲れてしまったといえる。これはどんな人間にもあることだと思うのだが、ある日突然戸惑いを感じることがある、ということである。その戸惑いが増大したときに、主人公の彼は自らそのことを悟り、自分と彼女との距離を取り戻すために敢えて別離を決意する。そして彼女もまた彼の存在をいとおしく感じ、彼もまた彼女の存在をいとおしく感じるという、お互いの存在の重要性を確認する物語である。
と堅苦しく書いてしまったが、地の文章に含まれるさりげない表現が日常ぼくたちが感じているちょっとしたことを明確に表現しているので、主人公たちの世界へとぐいぐいと引き込まれていくことだろう。ぼく自身、主人公のような気分と同一化しつつ、切なく感じたのだった。ぼくはつねにここにいるかもしれないけど、あなたのそばにはいない。そんな切ない思いを感じたことがある人、感じたいと思っている人に贈りたい物語である。