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Jan.2,2005 (Sun)

フレドリック・ブラウン『宇宙の一匹狼』(創元SF文庫)

宇宙の一匹狼

 フレドリック・ブラウンは短編の名手だと感じているのだが、長編も人情味があふれた作品が多くて好きだ。本書も創元SF文庫で長らく読み継がれてきた作品の一つで、元宇宙飛行士で犯罪者の主人公の冒険活劇となっている。ヌレ衣を着せられた主人公のクラッグ。過去の罪状により、彼はほぼ有罪になることが確定。刑罰として精神改良もしくは長期の懲役が科せられることになっていた。ところがある人物の手引きにより、彼は脱獄に成功する。ある人物とは、最近政界で頭角を現していたオリヴァーという政治家。彼はとある品物を火星にある研究室から盗むことをクラッグに依頼する。疑心暗鬼になりながらも、クラッグは仕事を引き受け、火星にある研究所に向かう。

 前半と後半でかなり内容が様変わりするのでびっくり。クラッグは一匹狼だけれども、彼の心理状態に同情する人も多いはず。望むものも手に入れ、とある遭遇によって変化した彼は、まさにその遭遇によって人生を変えられる。その人生の変化の部分に驚くべきアイディアが使われているので、たぶんびっくりすると思われる。

 結果的には円満解決するのだが、ここまで計算して書かれた作品というのは読んでいて気持ちがいい。唯の冒険活劇だと思って読んでいると、まったく違うサプライズがあるのが、ブラウンの作品の魅力だと思う。今までいくつか彼の作品を読んできたのだが、実に多才な作家だと感じた。星新一がブラウンが好きな理由が段々とわかってきた気がする。またSFだけではなく、ミステリにもたくさん彼の作品があるので、ブラウンのミステリも読んでみたいと思った。