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May.24,2005 (Tue)

スティーヴン・キング&ピーター・ストラウブ『ブラック・ハウス』(新潮文庫)

ブラック・ハウス上

ブラック・ハウス下

 あの名作『タリズマン』(新潮文庫)の続編ということもあり、もったいなくて読むのをためらっていた一冊。今回ついに読み始めて、徐々に物語世界に引き込まれ、1000ページ近くの大作を結局1週間足らずで(上巻はちまちま読んでいたけど、下巻はすぐに読んでしまった……)読み終えることができた。

 主人公の風来坊ジャックも30代になり、敏腕刑事として活躍していた。ところがとあるきっかけで刑事という職が嫌になり、若くして退職することに。そんな退職先として選んだウィスコンシン州の田舎町で、幼児だけを狙った連続猟奇殺人事件が起こり、フィッシャーマンと呼ばれる殺人鬼を捕まえるのに全力を挙げていた。署長のデールは盲目のDJヘンリーを叔父に持つ優秀な警官で、どうにかジャックを現場に引き戻し、事件の解決に尽力する。しかし、事件の裏には恐るべき闇の力が隠されていたのだ!

 本書はまたキングのガンスリンガーシリーズの外伝でもある。ぼく自身、ガンスリンガーシリーズは未読だったため、少しもったいない気分になったのだが、本書自体は独立したサイコホラー&ダークホラーとして読める。ストラウブ的部分(二重人格、多重人格のところとか)よりは、魅力的な人物をたくさん出して読者を魅了するキング的なプロットが勝った作品だと感じた。そういった意味では、二人の魅力が十二分に発揮されていて、読者は十分彼らの世界に魅了されることは請け合い。

 特に大学出のインテリのこわもてのハーレー軍団たちとか、いくつもの声色を出せる盲目のDJヘンリーらとの会話は、キングらしさがよく出ていて、ジャックでなくても魅了される。子供を喰らう殺人犯の物語のため、陰鬱なトーンが漂っているけれども、後半になってからはテリトリーとその周辺の物語になるので、サイコホラーからダークファンタジーに物語のトーンが変わるので十分楽しめる。サイコパスの狂気の世界とテリトリーの不思議な世界、そして風変わりな人物たちが織り成すオリベスクにぼくはくらくらしてしまった。

 ラストは賛否わかれるかもしれないけど、ぼくもあのラストは好き。キングらしい結末のつけ方(とはいえ、物語途中ですでに暗示されているのだけれども)だったので、ちょっとにやり。全体的に淀んだ雰囲気のあるダークファンタジー的ホラーだったと思う。1000ページあるけど、前半の街の描写を除けばさくさく読めると思う。特に後半になってから、テリトリーの暗黒の力によって影響を受けたブラック・ハウスの描写は気色悪い。黒の力によって侵されてしまうマウスのシーンはかなり衝撃的だった。

 ともあれ、十分楽しめる話なのでぜひ読んでみてほしい。

ブラック・ハウス〈上〉

ブラック・ハウス〈下〉