bk1に「素晴らしい新世界 〜或いはSFと戯れる日々〜」というまだ手に入るSF本についてのコラムを書かせていただきました。第二回目の「レイ・ブラッドベリとハロウィーン」もアップロードされました。ハロウィーン前にぜひブラッドベリの世界を垣間見ていただけると嬉しいです。興味のある方はぜひ、ご一読を。ご意見ご感想をお待ちしております。
復刊ドットコムに「夢の国のリトル・ニモ」の復刊をリクエスト。ご協力お願い致します。
DASACON4のレポートはそのうち時間がとれたら書きます。オークションについてはDASACON2と同じ過ちを繰り返してしまい、申し訳ありませんでした。会場に出品者リストをアップしなかったこと、ノートパソコンを持って行きながらも、事後会計にまごついてしまったこと、オークションの出品本を「品切れ・絶版本」のみに絞ることの三点が今後の課題となった。オークションの不手際で落札したい本が落札できなかった方々、申し訳ありませんでした。
9月29日から10月4日までに買ったおよび交換した本。某古本屋・ブックオフ中目黒店・ブックオフ西五反田店・旭日屋渋谷店・金華堂。ダサコン4オークションで落札した本およびmutさんから買った本。会場でリムバードさんと交換した本。および岸本さんと松本さんからの交換本が届く。
梅原克哉『迷走皇帝』(エニックス文庫)読了。アンバーシリーズへのオマージュだと思われる並行世界をネタにしたSFだった。梅原克文のデビュー作らしいのだが、この方向でもっとSFを氏には書いて欲しかったと思う。イスラム世界風の設定と並行世界を渡り歩くアイディアが抜群に面白いSFだった。
ミラー&ハンガー『永遠に生きる男』(ハヤカワ文庫SF)読了。確かに古びていて、今出す価値はないけれども面白く読めた。絶対権威者<マスター>の不老不死の秘密がSF的なネタとしてはなかなか魅力的。物語の方向性を変えると吸血鬼モノになるといえる。ペテン師の悪役がいい味出してます。
友成純一『殺戮魔幻楼』(ケイブンシャノベルズ)読了。友成作品をこよなく愛するおーかわさんのご推薦(自慢とも言う)を受けて以来、ずうっーと探していたのでした。今回岸本さんのご厚意により、交換していただきました。どうもありがとうございました。売る気のないカバー(これはひどい)は仕方がないとはいえ、もっとなんとかして欲しい。30分で読めます。殺人鬼<キング・キラー>(なぜかキングになっている……)が高級マンションに立て篭もるというお話。それだけなんだけど、相変わらずパワーがあって、面白い。主人公<キング・キラー>は『獣界魔道』のキラーに比べるとキャラは弱いですが、殺す所できちんと仕事しているのでオッケーでしょう。魔界と化したマンションの描写が気持ち悪いです。古本屋で見かけたら買いでしょう。
岡崎武志『古本病のかかり方』(東京書籍)読了。いや別に森山さんの北尾トロさんの話があったからじゃないけど(笑)読み終えました。岡崎さんは風俗、一般文化、純文学のジャンルを守備範囲にされている方なので、違った分野の雑知識を仕入れるのに最適な本でした。エッセイの感じが横田順彌さんの文体に近いので、岡崎さんの本は好きだったりします。本が人を結びつける話には共感。一つの本がネットワークを形成していく様は面白い。
今、巽孝之編『日本SF論争史』(勁草書房)を読んでいるのだが、むちゃくちゃ面白い!今までSF論についてはぱらぱらと参考文献を眺めるだけに過ぎなかったが、各論客の熱き議論を読んでいると、当時の熱気が伝わってくるような気がする。巽孝之の説明と編集が見事。今、ちょうど荒巻義雄のところ。山野浩一の理論(「日本SFの原点と指向」)は明解で面白い。山野はアメリカSFから礎を築かなければならなかった日本SFの発展模索過程を纏めながら、レムやクラーク等独自の方向性を志向している作品群と比べて日本SFが狭い対応しかしていないことを指摘している。その前の安部・小松・福島・石川諸氏の論も面白い。福島正実の「ブタ!」発言にはびっくりしたが。読み終えたらもう少しSF評論の本を読んで、知識をつけたい。この本にはものすごく知的な楽しみがあると思う。
以下の新刊と古本を買う。
森山さんの日記経由で『カラミティナイト』(ハルキ文庫)の評判も上々の高瀬彼方さんがご自身が責任者となって五代ゆうさんの本フェアを行うそうだ。売れないときは高瀬彼方さんが返品分を買い取るという。自分の発言に責任を持たれている高瀬さんは偉すぎる。なので、五代ゆうさんの本を買われていない方は高瀬さんに協力しましょう。ちなみにやりとりが交わされた高瀬さんの掲示板はここ。
いまさらながら巽孝之編『日本SF論争史』(勁草書房)を読み終えた。1958年の『ダブル・スター論争』から1997年に始まったクズSF論争までを概略。そして主だった議論を抽出して1冊にまとめたのがこの本である。SFの定義論、ハインラインの『宇宙の戦士』論の批判・擁護論、ジェンダー論、新しいSF論について重厚かつコンパクトに纏められている。以下ぼくがこの本を読み終えて感じたことである。感銘を受けたのは荒巻義雄、山野浩一、安部公房、川又千秋、野阿梓の論文。伊藤典夫の論文は以前SFMで読んで感銘を受けたので、今回は除外。小谷真理のジャンクフードとやおいの関連づけ論文も面白かった。安部公房「SFの流行について」の「SFは仮説の文学である。」という主張を読んで目から鱗が落ちた。今まで感じていたことをうまく一言で示してくれた文に出会ったからだ。安部の議論は荒巻義雄のいうKunst(術)の方法論(カントの理論を援用して、荒巻はSFは当てはめの技術があれば書けるという主張)につながる。Kunstを実行して成功している荒巻義雄は一つの到達点として称えるべきではある。山野浩一は「日本のSFの土台はアメリカから輸入されたものだ。日本には作品と現実世界との多元的な対応関係をとった主張のあるSFがない」と嘆く。この点は今だから問題にされてもいいのではないかと思う。ニューウェーブの方法論は山野の主張の試みの一つであるし、実際SFと思われる作品群に大きな影響を与えたのは確かである。ニューウェーブが日本の作家にもたらした影響は多大だとお申し、その影響を調べることは無駄ではないと思うからだ。もしそのような参考文献があればぜひ教えて欲しい。川又千秋や森下一仁のいう「センス・オブ・ワンダー」を中心としたSF論と「SFは仮説の文学である」という安部らの主張とどのような接点を結びつければいいのか、もう少し評論を読んでぼく自身模索してみたい。クズSF論争については、収束の感があるので特にいうことはないが野阿梓氏の明解な議論を読まれることをオススメする。野阿さんの主張を交えながらしっかりと整理されているので、本書と併せて読むことをオススメする。SFを読みすすめていくうちに「何がSFなのか?」「なぜオレはSFを読むのか?」ということを強く思いはじめた。当初ぼくは漠然読むことに抵抗感がなかったが、徐々に漠然と読むことに恐さを感じた。そんな中たまたま手に取った本書は「漠然感」を取り除くのに一役買ったように思える。もうちょっと他の評論集も読んで、SFについて考えてみたい。色々とご教示していただければありがたいです>識者の方々および本好きな皆様。
ブックオフ中目黒店でセール。文庫がオール100円。100円コーナーの本は2冊で100円だったので、色々と買ってしまう。サイコホラーで買い逃しがかなりあったので、それらを中心に購入した。講談社からも注文していた本が届く。うっ、今月は土田さんより買っている……。ちなみに土田さんは4000冊の快挙を成し遂げた方だったり。
ダサコンの反省会。とりあえず次回以降どうするかなどを話す。森太郎さんのLoginいろはかるたネタ(デボキシリボスケ酸と「二階からグリスリー」)に反応して笑ってしまった。とりあえず皆さん元気そうで何よりでした。あとヒラノさんから<クズSF論争>関連の資料をお借りする。『日本SF論争史』があまりにも面白かったので今更ながら、詳しい経緯が知りたくなったのだ。
本を買う。新刊の入荷が早い古本屋で、チェックしていたものを買う。
高瀬彼方『カラミティナイト』(ハルキ文庫)読了。所々に挿入されたエピソード(『光の王』の話とか)とか、キャラに感情移入しやすくて面白かったのだが、総合的には中の上ぐらい。災厄の心臓について、色々と考え始めたらきりがなくなってしまった。確実に続刊が出ると思うのだけれども、物語の序盤という感じで物足りなさもあった。キャラ描写のうまさは抜群。ストーリーは月並み。SFというよりもむしろダークファンタジーのジャンルに分類されるでしょうね。次回はストーリーに期待。
WEB本の雑誌と相互リンク。錚錚たるメンバー陣の中にて縮こまっております。
ログインいろはカルタについて情報求む!あ、こちらにも情報があります。「山ログ」時代のログインはとにかく凄かった。コラムに興味のなかったお馬鹿な小学生だったぼくは殆どこれらのネタをきちんと読んでいない。うーん、残念。このころのログインのトレードマークだった波平ヘアーのにこにこマークの名前は「ほげムタマーク」でよかったんでしたけ?>識者の方々。
ショーン・ハトスン『闇の祭壇』(ハヤカワ文庫NV)読了。現在絶版中のゲテモノホラー。イギリス版友成純一と形容すれば、鬼畜系ホラーの人ならばぴんとくるはず。『スラッグス』は人食いナメクジが人を襲う話だったが、本作品は黒魔術のテイストを帯びたケルトの邪神復活モノ。途中途中に挿入された本筋とは関係無い話が緊張感を読者に与えて、いい感じ。友成純一さんと似ているのでとにかく読ませます。ノンストップスプラッターホラーという感じで、この本が日本で読めなくなってしまったことは実に残念。古本屋で見かけたらぜひ買って読んで欲しい1冊。ハトスンの再評価とデビュー作の翻訳を望みます。
ジグゾーハウスさんから本が届く。あと大学の帰りに買った本。
ロバート・F・ヤング『ピーナッツバター作戦』(青心社)読了。おセンチな話五篇が収録された短編集でした。さすが「たんぽぽ娘」の作者ヤングだけあって、泣かせます。「ピーナッツバター作戦」だけは恋愛が絡んでいないけど、心温まるSFです。解説の桐山芳夫氏も述べているが、ヤングはある種の職業にこだわっているのはなぜ?(特に女性側ね。)運命的でかつ素敵な出会いの感動を味わいたい人に強く薦めたい。古本屋で見かけたら即ゲットすべき1冊。
新刊書店+某古書店+ヤフオクにて入手した本。
Sさんから本が届く。これでハヤカワ文庫JAは100番台はコンプリートになった(嬉)。あと大学の帰りにブックオフに寄る。結構品物が充実していて、びっくり。うーん、定点観測は侮れませんな。ブックオフ本は100円コーナーのみ。
大学の帰りにブックオフに寄る。丁度品物が入れ替わったところらしく、文庫の棚をチェックするとサンリオSF文庫を含めレアな本を数冊発見。あと囃子さんとSAKATAMさんの交換本が届く。ありがとうございました。
北尾トロ『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』(風塵社)読了。本の処分を目的に始めたオンライン古本屋「杉並北尾堂」奮闘記である。これからオンライン古本屋をやる人は読んで損はない。各月の販売実績・損益等が公表されている。収支報告がされた毎月黒字なのに驚く。バラエティに富んだ消費者の嗜好がインターネット上のバーチャル市場で満たされやすくなってきていることもある。つまりインターネットはより細やかな消費者の欲求を満足させられるような「供給者側との出会い」を高める場であるのだ。なので当初から北尾トロ氏はリンクフリーを謳っている。リンクに関する細やかな規定なんかはいらない。客を集めたければ、リンクフリーにするだけでいい。本が好きで、本に執着心がなく、あるジャンルについて強みがあれば、十分サイドビジネスとしてやっていける商売だと思う。ただある程度の冊数と品揃えはなければダメだけれども。一般に古本屋としてやっていける冊数は5000冊くらいといわれているが、オンライン書店では1000冊以下500冊程度から開始できるので、魅力的ではある。具体的な数字や実践的な方法論が噛み砕いて書かれていて、実に面白かった。まあ、今後のオンライン古本屋の強力な相手は各オークションサイトでしょうね。下手な古本屋より数が登録されていますから。ゲーム性も兼ね備えているから中毒性もある。実際、こんな本がこんな値段で!ということを痛感する場でもありますから、セキュリティの問題を解決すれば十分サイドビジネスとしてやれるでしょうね。
新刊書店とブックオフに寄る。ブックオフでは買い逃しがあった。ともに品切れ本で探していたものなのでよしとする。あとYahoo!オークションで落札した本、かしばさんとの交換本が届く。ありがとうございました。
有元さんからの交換本が届く。ありがとうございました。これで青心社SFシリーズはコンプリート!
生協で注文していた本、新刊等を買う。
Jane Yolen"The One-Armed Queen"(TOR)読了。女神アニタの再来、白き乙女ジェンナもすでに2人の王子と1人の王女の母親となって、主人のカルムとDaleの地を王族として統治していた。主人公Scilliaは片腕の少女。彼女はジェンナとは血縁関係に無い養女だった。多感な彼女は紆余曲折しながら、自分の母親のルーツを探り当て、ジェンナとの絆を深める。その一方で、前のGender Warでは敵国だった男尊女卑の国家Garunとの間に平和のためのとりきめが交わされる。双方の王子を人質として交換することだった。ジェンナたちは幼き次男Jemsonを人質として、海の向こうのGarunへと送り出す。このことが後の騒動に発展するのだが……。
本作品は一応『光と闇の姉妹』『白い女神』(ともにハヤカワ文庫FT・絶版)に続くお話。架空の地Dalesの伝説を軸に、考古学者の時代考証も合わせて物語がオムニバスで進行するというリアリティ溢れるファンタジー作品だ。ヨーレンはリアリティを追求するために、自分でバラッドを作詞・作曲し、巻末にそれを載せている。このシリーズはフェミニズムの色が強く出ていて、女性の力によって男性の行動原理を変えるというテーマが一環として追求されています。後半でジェンナの息子JemsonはGarunの生活によって性格・習慣・考え方を変化させられてしまい、男尊女卑のシンボル的存在、倒すべき敵として描かれます。彼はいわば旧時代の亡霊であり、この亡霊を女性たちの力によって打ち破ることをヨーレンは主人公の片腕の女王Scilliaに託したのではないかと思った。またJemsonは、女王ジェンナと死に瀕したカルム王の両方が魔法の場に隠棲してしまった後、Garunの軍隊の力によって王位を簒奪。兄Corrieを幽閉の身にする。その後、Corrieは逃亡を企むが失敗してしまい、弟によって拷問される。その結果、Corrieは殺されてしまう。一時の怒りの激情に任せて兄を殺してしまったJemsonは悲しみのあまり兄の死体があたかも生きているように処する。日々腐っていく兄の死体と臥所を共にするJemsonの姿は無気味としかいいようがない。ジェンナもこうなることがわかっているのならば、防げたはずなのに敢えて防がなかった。簒奪者Jemsonを倒すことで、Scilliaは女王になる。彼女は多数の血の上に民主制の礎をつくることになる。世界を変えるためとはいえ、善良なCorrieを殺す必要はなかったように思えるのだが……。しかし、「王族」の血筋があることで訪れた不幸なので、その王族の血を排除しなければ新しい政体が生まれないとはいえ、後半のJemsonの簒奪劇は暗い雰囲気に満ちている。
前の2作に比べ、より現実味を帯びたファンタジーになっています。あとやはり思春期の少女の心の葛藤と大人への旅立ちがよく描けているのではないかと思います。そういう意味で前作までとは打って変わり、風変わりな設定(影の姉妹やアーサー王伝説を彷彿させる場面等)を用いることなく、主人公Scilliaの成長譚とした点でヨーレンは新たなファンタジーの可能性を見出したのではないかと思います。翻訳が出て欲しいです。
所用で神保町方面へ。帰りに全集が売られている書店で大きなお買い物。その後、新刊書店&西五反田のブックオフへ寄る。
金曜日にはじめて螺旋堂に本を注文してみたのだが、回答がない。どうしたのだろうか?注文したのは福武の海外シリーズ。もしかするとメール送信のミス等があるかもしれないので、1週間程度待ってみることにしますが。はじめて注文を出したWEB古書店で在庫の確認等のメールが戻ってこないというのは非常に不安だ。(追伸:在庫ありとのメールをいただきました。本日送付とのことで、嬉しい。)
目黒区民センターで行われたリサイクル祭りを覗く。児童SF専門のダイジマン氏もうらやむ本も拾えて満足。『宇宙戦争』は訳者白木茂氏のサイン入り謹呈本だった。
小林信彦『地獄の読書録』(ちくま文庫)読了。小林氏独特のパワーが本から発散していて、惹きつけられてそのまま読み終えた。ちくま文庫版は集英社文庫版とは異なり、増補分がある。なのでこちらを読むことをオススメしたい。悪い訳者を叩いたりしていて小気味いい。ヤクザな別宮貞徳調という感じか。面白いのは奇妙な味わいのSFや作家をベタ誉めしていて、小林氏の嗜好がうかがえる。興味のなかった本まで読みたくなってしまう気持ちにさせる不思議な本である。昔の人たちがこの本をガイドブックにして、本を収集していたというのは首肯できよう。ただ今の人にとっては地獄道(古本道)への橋渡しとなっているので、これぞ本当の『地獄の読書録』である。おかげで今読書しているのはベタ誉めだったスタンリイ・エリンの『第八の地獄』(ハヤカワ文庫HM・品切)だ。まったく罪作りな本だ。
所用。帰りに新刊本屋に寄る。上田文庫&古書ディックから本も届く。
所用。帰りに西五反田のブックオフに寄る。ここは24時営業を続けるみたいだ。そういえばブックオフの前の交差点で2台の車の衝突事故を見た。右折しようとしていた車に進行方向から来ていた車が衝突したみたいだ。ぐちゃぐちゃである。でもドライバーはけろりとしていたので、派手な事故な割には車が破損しただけで済んでよかった。車を運転しはじめたこともあり、歩行者の立場と運転者の立場で交通というものを考えることができるようになったのは幸い。『スコーピオン1の急襲』はよしだまさしさんのページを見て面白そうだったから買った。
スタンリイ・エリン『第八の地獄』(ハヤカワ文庫HM)読了。小林信彦が『地獄の読書録』で絶賛だったので、手にとってみた。もともとブックオフの100円均一コーナーで何となく拾った本だったので積んどく状態だったのだが、本を整理しているうちに出てきたので読んでみた。結果は大当たり。収賄の疑惑を持たれた警察官の無実を調べるために、主人公の私立探偵が調査に当る。主人公マレイはインテリのオブで、先代の社長から徹底して教育され、跡目に収まる。そんな彼はもちろん世渡り上手のクールガイ。かなり不利な事件で当初は断ろうとしていたマレイも、依頼人の警察官の婚約者の美貌に心を動かされて事件を引き受けてしまうところが人間くさくていい。
複雑な糸が段々とほぐれ、調査が進行していく感じが快感。有能な秘書ミセス・ナップをはじめ、登場する美女たちのキャラが立っていて主人公のマレイが羨ましくなります。第二部までで十分素晴らしいのに、第三部でさらに読者を唸らせるあたり、エリンという作家、一筋縄ではいかないようです。現在品切れ中ですが、古書店で見つけたら即買いの本でしょう。1958年度アメリカ探偵作家クラブ賞受賞。
松本さん、螺旋堂、Yahoo!オークションで落札した本が届く。HMのウェストレイクはこれでたぶん揃ったと思う。
米田さんがぼくのことを考えてくれていたらしい(笑)。面白そうな夢だったり。湯川さんもエリンを探されていましたか。タイトルはダンテの『神曲』から来ているので、もちろん湯川さんのご指摘は作品に関係あるタイトルだったりします。ちなみにエリンにおける第八の地獄というのは地獄の第八層のことで、ペテン師や汚職役人らが苦しんでいる地獄です。これを汚職警官たちがさ迷う状況を皮肉って書いたということらしいです。
ドナルド・E・ウェストレイク『殺しあい』(ハヤカワ文庫HM)読了。エリンの名作の後に読むと質は落ちるが、これまた汚職が絡む政治劇に巻きこまれてしまった私立探偵の悲劇を描いている。エリンとは異なり、かなりペシミスティックで主人公のキャラは立っていない。ただ、わけのわからないうちに主人公が事件に巻きこまれ、築き上げてきた彼の信頼を崩す敵の姿がぼやけているところは現在のウェストレイクの作風とはかなり異なる。徹底して陰鬱に描くことで、物語のあらすじをうまく引き締めることに成功しているように思える。世渡り上手過ぎた主人公が招いてしまった悲劇であるとはいえ、ラストは衝撃的だった。エリンの『第八の地獄』と比較するのは面白い作品だとは思う。ウェストレイクファン以外は特に読まないでもいい作品ではある。
ハリー・パタースン『デリンジャー』(創元ノベルズ)読了。実在した銀行強盗デリンジャーをモデルにジャック・ヒギンズが痛快な冒険物語に仕上げた物語。たぶん品切れなのだが、何となく手にとって読んでいたら面白くなってしまい夜更けに読了。昔のウェスタン劇+義賊+車フェチ(笑)+エキゾチックな美女+典型的な悪役という組み合わせが見事にきっちりとハマって、読ませます。佳作といえましょう。この人の他の冒険小説が読みたくなってしまった。冒険小説はすぐにブックオフの100円均一棚にならぶのでちょっとヒギンズの代表作くらいは読んでみようかと思う。
ダイジマン氏からご指摘があったように、現段階でブラッドベリの最新作品集となるのは『バビロン行きの夜行列車』(角川春樹事務所)になります。ご指摘ありがとうございました。日本においては、『バビロン行きの夜行列車』→『瞬きよりも速く』→『二人がここにいる不思議』の順に翻訳が出ています。この他にも近年日本語で紹介されたものに、晶文社から出ているエッセイ集2冊(『ブラッドベリがやってくる』『ブラッドベリはどこへゆく』)とBL出版の絵本『夜をつけよう』があります。興味のある方はぜひどうぞ。
大学に行った後、神保町へ。古本祭りはSF本についてはややダメ度が高く、買う気がまったく起こらない。カ○ミ書房や○Bワンダー等SF本の価格が妙に高くなっていた。これは途中で出会った風野ドクターにカ○ミ書房に付き合って戴いて、確かめたのだった。その後、u-kiさん&青月にじむさん&ヒラノさんと共にメーヤウでカレー。イエローカレーは辛いものの美味。口の中で残るひりひりした感じがなんともいえずよかった。そのあとは「喫茶店で日刊スポーツの塩澤インタビューを確認したり(今日も載ってました)、三省堂で何かと話題のアスキーネットJを立ち読みしたり」と風野ドクターの日記にあるとおり。
その後、mutさんが合流して、日本一本を買う男と異名を取る土田さんの1周年記念オフへ。ここで風野ドクターとはお別れ。さぼうるはすでに席が満杯で同席できず、4人で色々と駄弁る。その後日下三蔵さんらが現れ、場所を変えてメイン会場へ。ここでは隣にいらっしゃった惣坂さんご夫妻やヒラノさんらと川崎の古本屋話をした。日下さんとは何度もお会いしていたのだが、今回きちんとご挨拶することができた。日下さんからハルキ文庫の今後のラインナップ予定をうかがえたのは大収穫。みなさん、堀晃さんの『地球礁』等是非買いましょうね!売上によってはいいこともありそうだということです。途中青木さんが合流。用事のある日下さんと別れて、残留組は雨の中再びさぼうるへ(笑)。さぼうるでは初対面となる川口さんやいわいさん、金光さん、土田さん、うさぎさん、無謀松さんらと主にお話。ミステリ系の濃い話がじゃんじゃんでてきて、勉強になりました。川口さんはハンサムなナイスガイ!タバコを吸う姿がダンディでした。ここでは、まるぺの2巻目の感想は?とか、ユートピア旅行記叢書の感想文はどうなっているのとか(すみません、買っているだけ……)などなど。とにかく濃い1日でした。楽しいひとときをありがとうございました。
買った本は以下の通り。新刊が多い。
遅れましたが林さん、おめでとうございます。SFオンラインで冬樹さんの連載を引き継いで、林さんが「SFマガジンを読む」を担当されることになった。 ぼく自身、SFマガジンは毎回きちんと読んでいるわけではないので、これを機会に過去の冬樹さんの記事と今回からの林さんの記事を読んで自分なりのSFマガジンの感想をホームページで紹介できればこれ幸い。
カシュニッツの短編集が出ていることを知り、びっくり。思わずめるくまーるに注文したら、在庫があってすぐに届いた。今読んでいるのはちはらさんも気にしていた岸本佐知子『気になる部分』(白水社)とロバート・アーウィン『アラビアン・ナイトメア』(国書刊行会)。前者はニコルソン・ベイカーの翻訳者で有名な人。些細なことを気になってしまう岸本氏の口調が中野善夫さんの文章みたいで面白い。読んでいる途中で、ものすごく気になったエピソードがある。岸本さんは「オランダ」と頭に入力すると「あみだくじ」となって出てくるそうだ。長いエピソードになるそうだが、何らかの機会に明らかにして欲しい。後者はスチームパンク的テイストとメタ小説が組み合わさって、まやかしに騙されている感覚。訳も読みやすくてグット。
B・ブロンジーニ&B・N・マルツバーグ『決戦!プローズ・ボウル』(新潮文庫)読了。これは面白い。近未来、活字離れを食いとめようとした政府が小説速書きをスポーツとして認定。主人公”メタファー・キット”ことサケットは若手のホープ。順当に勝ちあがり、ついに<プローズ・ボウル>での決勝戦に挑むことになった。ところがそんな彼に八百長をするように誘われる。彼はその申し出を跳ねのけたのだが……。
フットボールのパロディ小説なんですが、ミステリ風味の近未来SFという感じでしょうか。読了して感じたことは、木城ゆきとの『銃夢』2巻のガリイの高揚感に近いスリリングさがありました。小説書き選手権という一見地味な設定だと思うのですが、テーマを決められて1万字に達するまでストーリーを作り上げて行くという作業も面白く、なかなか。メタファー・キッドのサクセスストーリとして読むといいと思います。作家には燃料補給が必要なんですネ!
松村栄子『アバトーン<至高聖所>』(福武文庫)読了。作者は最近ハルキ文庫から復刊した『紫の砂漠』の人。表題作で作者は第106回芥川賞受賞。純文学作品で、SFではありませんでした。舞台はとある地方の大学。筑波大学出身という作者の経歴から、物語の舞台は筑波大学のキャンパスをイメージしているようです。主人公の沙月は物静かな新入生。そんな彼女のルームメイト真穂は彼女とは対称的な性格の女性だった。沙月は真穂のことをうっとおしいと思いながらも、真穂のことを知るにつれて段々と態度を変えていったというのがメイン。作者はキャンパスが僻地にあり、なんとなく無機的なところを<聖所>とイメージしたのではないかと思います。沙月はまるで巫女のようです。感想がとても書きにくい本で、読了した後の感じは懐かしさの一言につきるかも。この文庫本は中学生の子供たちの内面に触れる女教師の葛藤を描いた「星の指定席」も収録されています。こちらも感想が書けない口。人によってかなり作品に対する捉え方が変わってきそうな感じです。表紙やタイトルからファンタジーだと思う人も多いですが、これは純文学であることを強調しておきましょう。
岸本佐知子『気になる部分』(白水社)読了。マイナーなものと変なものをこよなく愛している(ように見える)翻訳者岸本佐知子氏のエッセイ。岸本氏は普段ちょっと気になることがたくさんあるようで、新幹線の黄色い部分やトラックの車輪の後ろについているビラビラ、麒麟の頭の突起などなど……。ぼくたちが通常、普段気にしないものを察知される岸本氏のこだわりが面白すぎる。すぐに読めます。エッセイとはいえ、収録されているエッセイ自体が幻想文学ともいえるので、変な話が好きな人はオススメします。ご本人に一度会ってみたくなってしまう1冊。加えて岸本氏が訳されたニコルソン・ベイカーの本も近々読んでみたい。
大学が騒がしくなったため、帰宅。帰りにブックオフ西五反田店と新刊書店に寄る。西五反田店は感謝セールならぬ在庫一掃セールをやっていた。最近、感謝セールと名うって在庫処分をするブックオフが増えてきたのはやはり余剰在庫を抱えているためであろうか。