掲示板Hybrid Cityにて行われている「洋書を早く読むコツ」について、加藤逸人さんの方法論をログにしてとっておきたいと思い、別ファイルにしました。加藤逸人さんはSFの原書を年間に百冊以上読まれている洋書読みのすごい人です。今後SFマガジンで、SFスキャナーの欄を担当される予定で、面白い本を紹介されるとのこと。非常に楽しみにしております(管理人)。
なんてあったら,私が一番先に教えて欲しいですよ.やばいな.溝口さん,あれでは まるで私が秘伝のタレでも隠してるみたいじゃないですか. とはいいながら,おだてられると墓穴ぐらいすぐ掘ってしまう私ですから,いくつか 思いついたこと並べてみます.他にもアイデアのある方,逆に教えてください. とりあえず,速い遅いといっても,具体的な基準がないと話にならないと思いますので, 今回はスピードの目安について. 1.ネイティヴの平均的スピードは 300 wpm (words per minute) 程度だそうです. ペーパーバックでいえば,時速 40-50 ページぐらいでしょうか. 日本語に翻訳したばあい,文庫本で 60-70 ページ程度かなと思います.ずいぶん遅い ような気もしますが. 2.400 wpm あたりに "音速の壁" があるそうです.つまり,意識の中で音に変換して 読むため,実際に発話した時の物理的限界を超えられないというもの. これはペーパーバックで 60 ページ程度 / 文庫本で 90 ページ,かな? ま,これも速い方ではないですよね. 速読というのは 400 wpm を越えるレベルのテクニックをいいます.もしこの速読の 技術を期待しているのであれば,解説書とかいくらでもあると思います. ただし,この方法は,文章を読むのではなく,効率よく情報を得るための技術ですので, 論文/雑誌記事には向いても,読書には向かないと思います.(何回か時速 100 ページ をトライしたことはありますが,ケン・フォレットあたりなら筋ぐらい追えますが, デューンなんてなんにもわかりませんでした.当然ですけど.) そこで,速読ではなく,単純に早く 40-50 ページのレベルに持っていきたいということ でいいんでしたら,いくつかアイデアはあります.ちなみに私の場合せいぜいこのレベル. それも,ある程度意識して読んだ場合のスピードです.
なんて,やばい書き方で始めてしまいましたね >テクニっくんさま(あれ,変だ),めいさま, 冬樹さま,kanazawaさま 新参者ですがよろしくおねがいします. >秘訣 は,こつよりもっとひどいですよ. 20-30ページで遅いと思われているのでしたら,それは単なる勘違いだと思います. >洋書洋書に目を配ってあとは流す…… あ,それだけを書いて終ろうとしたんですよ.私は何を書けばいいんですか. 引き続き援護射撃お願いします. そういえば,音速は固体の中で速くなりますので,そのうち脳みそへのシリコン注入とか 始まるんでしょうか.液体ヘリウムに頭をつっこむとか... そうしましたら,特にきちんとした根拠があって意識してやっていたわけでもなく,全くの 自己流ですので,意味があるかどうかはわかりませんが,いくつか心当たりを書いてみます. もしかするとかえって悪い癖をつけてしまうことになるかもしれませんので,その点ご注意 下さい. 1.きちんと理解しながらスピードを速めようなどと欲張ってはいけません.多分理解して 読もうというのが前提になっていると思いますので,その意識を切り替えましょう.ともかく 理解力を犠牲にして,目を先に走らせること.場合によっては全然わからなくてもかまいま せん.精読ばかりを続けていると,読解力はもちろん上がって行くでしょうが,なかなか スピードには結びつかないと思います. 2.かといって,理解できないとなると意味がありませんので,目的別に読み方を変えて, 切り替えながら読み進めてみたらどうでしょう.本によってしっかり読みたいもの,ざっと 流せばいいもの,あるいはわかろうがわかるまいがどっちでもいいものがあると思います ので,それに合わせて,スピードのみを追う読み方を適宜間に挟んだらいいと思います. 特に,スピードのみを追った直後に,普通の読み方をしようと思っても,どうしても速く なってしまっているはず.一本調子に安住せず,めりはりをつけましょう. 3.体重計のメモリを毎日見ているだけでも体重が減っていくそうですが,同様に常に スピードを意識しましょう.1時間に何ページ読んだか,あるいは20ページとか読むのに 何分かかったか常にチェックすること.記録に取る必要もありませんし,特に目標を設定 することもいりません.単にどのくらいのスピードで読めているのかを意識するだけで 集中力も上がりますし,無意識のうちにスピードも速める結果になります. 4.長時間集中すると死にますので,短時間でいいから,読むことのみに集中しましょう. 逆に,そのあとの力を抜いた時の方がスムーズに読めたりするなどのおまけもあります. 5.これは蛇足ですが,読みにくい本の直後に読むと簡単に思えてすらすら進むという こともあります.フランス語やドイツ語のあとの英語っていうのはむちゃくちゃやさしい ですよ. 以上が核心部分となります.あたりまえのことなので,皆さんもこれに近いことをされて いるのではないかと思いますが.ごく単純に心理的なことばかりですが,意識してめりはり をつけるだけで結構かわります.それに,読むという行為自身も楽しめますし. 次の書き込みでは上記以外のもっとうさんくさい要素についてふれてみようかと思います. 肩透かしをくわれた方,どうもすみません.
間をあけてしまいました. うわ,溝口さんに別ファイルにされてしまった.一応事実と私見は分けたつもりですので, まずいことはないと思いますが,あんまり役に立たないですよ.それにご紹介頂いて赤面/ 冷汗なんですが,読む本はSF/ファンタジ中心に年間100冊程度というのが正しいと ころです (それも入手が容易になったここ2年程のことで,それ以前はせいぜい50冊程 度です).別ファイルに隔離するような危ない人間ではありません. 前回の書き込みが私の読み方のほとんど総てなのですが,あとは断片的に思いつくことを いくつか.多分に怠け者である私の性癖によるところが大きいため,単なる一つの見方と ご認識ください. 1.目的により辞書が重要なことは私も認識しておりますが,こと楽しみのために読むこ とに限っていえば,使わない方がいいのではないかと思っています. 辞書の最大の機能は語句を定義することですが,それは逆に語句の意味を限定することと なります.現実には,多くの語句は意味を限定されて使用されることは少なく,ある程度 の幅を持ったものとして使われます.辞書の定義では同じ意味を持った語句が,状況によっ て使い分けられるのは,意味の核の部分ではなく,明確に定義しにくい周辺部分が相当程 度の重要性を持っているからだと思います.ある特定の場面で使われた語句が,その背景 ごと別の局面で使用されることはフィクションに限らずよくあること. このことから,語句の意味は決して点とか線に限定されたものではなく,中心部が濃く, 周辺に行くに従ってだんだん薄くなっていく面とか立体として捉えられるものではないか と思います.辞書を使うと,明確に意味が限定されてその場ではよくわかった気になりま すが,逆に厚みがないためどうしても頭から抜けてしまいやすい.逆に,最初はぼんやり としかわからなかった語句は,また別の場面で出会って回を重ねるごとに次第に厚みが増 し輪郭がクリアになってきます.やはりこちらの方が自分の中に根づきやすいのではない でしょうか.それに,周辺部に取っ掛かりが多いため,後の検索もしやすくなります. また,辞書に頼らず自力でなんとかしようと努力を続けていると,自然と推理力が高まり ます.意味がわからないと理解できないと思い込んでいると,語彙が増えないと理解度は 上がって行きませんが,推理力をつければ,語彙など乏しくてもなんとかなるものです. ちなみに,英語を読むことで身につけた推理力は,他の言語にも十分役に立ちます. 要は,70%しかわからないから理解できないという意識を,50%わかったらあとはな んとかなるという感覚に早く切り替えるために,辞書はマイナスの要素であるということ です.といっても,何回も出会っているのに皆目見当のつかない語句や,専門用語で確定 した意味さえ押さえてしまえば用が済むものに辞書の使用を否定するものではありません. 依存しなくて済むような付き合い方をするのが肝要かと思います.
2.これは速読に関係する内容かもしれませんが,文中の内容語と機能語を見分け,内容 語のみを拾う読み方があります.語句を機能から分類すると,意味を担う content words と,意味の関連を表す function words に分けられます.英語の場合,内容語は音節の 長いラテン系の単語,機能語は音節の短いゲルマン系の単語という一般的な傾向がありま す.これはちょうど日本語における漢字とひらがなの位置付けに近いものがあるかと思い ますが,日本語で漢字だけ拾ってもそこそこ文意が取れるのと同様に,英語の場合でもラ テン系の単語を拾っただけで大まかな意味は押さえられます.そこで,長い単語のみを拾 い,極端な場合は2音節以下の単語は切り捨てることで,速度を上げることは可能です. (ヒアリングでいえば,どうせ強く発声された単語以外,耳に届いていないんですから.) もちろん,機能語の部分がトリッキーな意地の悪い文章の場合は適用しにくいですが. 3.人名/地名/特殊な用語で,出てくる度に流れを止めてしまう厄介な単語があります. これらについては最初だけ律義に付き合って,音に変換して読むのはさっさと止めましょ う.漢字でのパターン認識と同様に,形だけちらっと見るか,いっそのこと完全に黙殺す るのも一つの手かと思います. この手の用法で有名なものに,ヴァンスの文章がありますが,じっくり楽しむ場合は別と して,さっさと飛ばしてしまってもそう困らないように思います.ヴァンスの文章自体は 短いフレーズを積み重ねていくタイプの,ぶっきらぼうというか歯切れのいい推進力のあ る文章という印象が強いので,見慣れぬ単語に惑わされないよう,うまくそのリズムに乗っ て引かれるままにまかせるのが得策かと思います. 以上,断片的になりましたが,なんとなく感じていたことを大体リストできたように思い ます.あまり役には立たないだろうことをだらだらと書き連ねて,ご迷惑をおかけしまし たが,私としてはちょうどまとめる機会を頂いたようで,ラッキーでした.こんどは皆さ んからヒントを頂きたいと思います.