F・ポール・ウィルスンの『ホログラム街の女』(ハヤカワ文庫SF)を読み終えました。F・ポール・ウィルスンといえばホラー関連で有名ですが、本作品も違った意味でとても楽しむことができました。訳者の浅倉久志氏も「傑作!」とおっしゃっていますが、久しぶりで新刊の翻訳で楽しむことができました。SF的なガジェットがつまった作品だと思いました。
あらすじはこんな感じです。「人口過密に悩むアメリカ東海岸のメガロポリスであるダイディータウン。妻と幼い娘に去られて一人暮らしをしている三流の私立探偵シグはある日、ジーン・ハーローそっくりのクローン娼婦から消えた恋人の行方を探してほしいという依頼を引き受けたのがきっかけに、思わぬ大事件に巻き込まれることになる・・・」これが第一部です。物語は一応関連のある3中編から成っており、それぞれ楽しむことができます。
久々に一気に読み終えることができました。最近は新刊翻訳書に興味がもてず、そのままにしていたのですがこの作品はじっくりと楽しむことができました。作品自体はエフィンジャー・スミス・ギブスンの3人をミックスしたような感じの作品です。もともと電脳ハードボイルドは好きだったので、抵抗なく読むことができたようです。
第一部はブーダーインのマリードを彷彿させるようなストーリー展開。スリリングな展開と、衝撃的な事実。そしてラヴがあります。第二部が一番心に残るという意味では残るシーンが多く、落し子の少年と主人公の交流が微笑ましい。そして、現在の問題(臓器狩りとか)も裏のメタファーとして展開していて、それだけでも楽しめます。第三部ではまあ、スミス的な展開といえるでしょうが、こういう落ちにしてしまうところがうまいなと思いました。どういう落ちかは読んでいただけるとわかるのですが、実に気持ちよくなれると思います。
まあ、小道具もかなり色々と出てきて、うまくSF的なガジェットがつかわれていて、楽しむことができるのではないでしょうか。昨今のSF作品ではお勧めの一品だと思います。分量もそんなに分厚くないので、ぜひ機会がございましたら、一読をお勧めいたします。