『ラジオスターレストラン』感想めも


 寮美千子『ラジオスターレストラン』(パロル舎)を読み終えました。もう寮美千子の本にべた惚れです。読み終えた後、全身から力が抜けていってしまうほどの脱力感とイマジネーションの奔流に飲み込まれて、我を忘れてしまったほどでした。最初は、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』のような、幻想4次の平行世界のお話だと思ったのですが、(例えば星祭り=ケンタウル祭りなどなど。)ほのめかしながらもまったく違った話しを寮さんは作り上げている。(ちょうど小フーガを聞きながら読んでいたもので、何だか「ああそうです。ただいちばんのさいわいに至るためにいろいろのかなしみもみんなおぼしめしです。」という青年の言葉を思い出してしまったわけですが……。)

 あらすじ「高原列車の小さな駅、『十一月の町』。星祭りの晩、主人公の少年ユーリとその友人イオは禁を犯して神聖なギガンド山に入る。そこでであったのは滅びたはずの生き物<牙虎>だった。二人は<牙虎>を追いかけるが、イオは途中ではぐれてしまう。少年がたどりついた先は不思議なモリモ博士のいる電波天文台。そこで、 ブリキのような旧式のロボットがにこやかにユーリを迎える。「ラジオスター・レストランへようこそ」ユーリとロボット・ラグの不思議で、素敵な物語がここに始まる。

 ぼくは恐竜だった。もしかするとひとかけらの流れ星になってこの惑星にやってきたのかもしれない。そうだ、ぼくは惑星の上のあらゆるものだったのかもしれない。そのすべてが、いまぼくのなかにあるのだ。優しかった原始人も、人間によって滅ぼされた牙虎もぼくの前にはもういない。やさしい人も、きれいなものが好きな人も遠い時間の果てにきっといる。<ヨルの毛皮>は、うつくしい燐光を燃やし、ちらちらと燃えるような小さな夜空のようだ。長い年月を過ぎて、ぼくは再び化石の歌を聞く。化石の骨が成長し、美しくまるで青空のように清んでいる骨の歌がささやきかける。そう、これは彼らの夢だったのだ。静寂と幻想、そして時間の波がオーロラのようにぼくたちに夢を見させる。彼らの夢。ぼくは恐竜だった。もしかするとひとかけらの流れ星になって……。

 草原、水草、羊歯の森、粘菌の森。深い海の底。灰色の砂。水晶の恐竜。光の空。あふれる緑。降り注ぐ時間の滴。緑。緑。

 地球には何と不思議で、美しい音楽が流れているのだろうか。ぼくは普段は気がつかない。われわれは地球の風景の一部。大地の一部なのだ。そして音楽。鳥たちの声、水のせせらぎの音……。ぼくは地球。

 『ラジオスター・レストランへようこそ』、ぼくは招待を受けた。ぼくは君を待っているよ。そして君にあったときにこう一言言おう。もしぼくが生きていたとしたら。

 『ラジオ・グリーンへようこそ。美しい生命の惑星へようこそ』って声高にいいたい。