猥雑な地獄絵図なお話。199×年、突然地球が滅んで、そのときたまたまダンテ師の『神曲』を読んでいた主人公の作家がダンテ師をガイド地獄周りをするというお話。これまた奇妙奇天烈奇々怪々なお話で、各種地獄に堕ちた有名人たちの姿が赤裸々に書かれている。ガイドも珍妙なのだが、そこで繰り広げられる地獄絵図に戦慄の思いを抱くことだろう。ここで面白いのは(すでに故人になってしまった人の方が多くなってしまったが)、故人でない人たちも地獄に落とされているところにある。これにはびっくりした。ダンテの『神曲』の地獄篇を読んでいる人には百倍楽しめるというお得な本。各章立てが「○○の地獄(いんふぇるの)」となっているのには笑える。考えてみたら地獄周りを題材に扱った本を何か読んでいたような気がするのだが、本の山に埋もれてわからなくなっているのが痛い。風太郎はこれがはじめてなのだが、もっと他の本も読みたくなってしまった。
ハルキ文庫版で読めって感じですが、手元に文春版があったので読んでしまいました。インド国境にできた原子力発電所アグニ。厳重な警備体制の元にアグニは堂々と佇んでいた。アグニの建設に関わった亜紀商事の社員工藤はある時、アグニの秘密を知ってしまう。身の危険を感じた工藤は本社に帰還命令をFAXで進言するのだが、一笑に付されてしまう。その直後、仲間のエンジニアが事故に見せ掛けられた殺人によって殺されてしまう。警告が現実となった今、工藤は逃亡を図る。会社が守ってくれないことを知ると、工藤は会社を脅迫することで協力を得る。その協力とはアグニの内部にある爆弾を解除し、奪うことだったのだ!工藤は4人の同僚を得て、作戦を実行するのだが……。
かしばさんのページを見て、読もう読もうと思っていた一冊でした。なるほど、これは友人に薦めることのできる傑作です。ぼく自身昔から山田正紀という作家は大好きで、高校時代は特にはまっていました。この本は、山田正紀の初期の傑作の一冊といっても過言ではないでしょうか。とても楽しく読むことができました。落伍者に属するサラリーマンがリベンジを計るみたいな感じで、駄目人間リベンジが好きな人には強力にオススメ(っていうか読め!って感じでしょうか。)。今ならハルキ文庫でも容易に入手可能なんで、読んでいない人は読むべし。もちろん、このお話を読んで「商社って、実は暗殺部隊を持っていてCIAみたいな活動をしているんだよ!」とか思ってしまう人はいないと思うけれどもねー。もちろん山田正紀なので、駄目人間のレッテルを貼られた会社員の設定も細やかでいい感じです。英語コンプレックスで美人の妻を持つ万年係長、名門の生まれの女たらし、落語家の私生児で芸人になれなくて宴会要員、秘密処理係、人付き合いの下手なエンジニアというへんてこりんな組み合わせですし。でもこの話は読み終わった人なら絶対いうと思う。大声で「ギャフン!」と……。うわー、そういうオチかよ……(悶絶)って思う人は多いはず。