『電脳猟奇』感想めも |
友成純一『電脳猟奇』(ぶんか社)を読み終えた。Horror Waveのシリーズの一冊として出版されており、読み終えた後ものすごくぞっとした。それだけリアリティがある話なのだ。このリアリティはぼくたちの知らない裏の世界で進行していることなんだろうと逆に想像力がかき立てられてしまう。鬼畜系・電脳系・電波系・サイコ系すべてを包含した実に恐ろしいホラー小説だ。昨今読んだ中ではリアリティの面で最も完成されたと思われる傑作だと思う。
スナッフ・ビデオというものが世の中にはたぶん存在しているのであろう。ぼくも友成氏の本を読むまではしらなかったのだが、要するに人間を玩具のようにもてあそんだ揚げ句、なぶり殺しにする。その一部始終をビデオに撮って販売するのだ。そんなスナッフ・ビデオの犠牲者の無残な死体が発見されるところから物語が始まる。主人公は少年課の女捜査官。たまたま彼女が担当していた少年が無残な姿で発見される。その姿は頭をスキンヘッドにされ、頭がい骨には無残な疵が残されていた。生体解剖された後があり、内蔵が収まっていた場所には残飯が治められ、そして脳みそには希硫酸を挿入されていたらしい。この猟奇的な殺人事件は何のために行われたのか?主人公の女捜査官鏡子はその謎に迫っていくのだ。
権力を持った人間は何をやっても許される、という不文律が世の中には存在する。ぼくたちは他人とのかかわりあいの中で生きている。しかしながら、家出人などを食い物にする存在も世の中には存在するということを認識しておかなければならない。そう、まさにどんなことをされても許される人々という扱いをされるのだ。性的な玩具にしようと、殺されようとそんなことは構わないということなのだ。帯に村崎百郎氏がこの本のエッセンスを簡単な言葉でまとめているので紹介したい。「圧倒的に理不尽な暴力の前にいともたやすく無残にボンボン死んでいくのが小気味よくってたまんねぇ。」そう、この一言につきるのだ。
インターネットの裏世界の描写も見事としかいいようがない。本当に危険なものはまさに友成氏の描写のように信用のできる人間しか勧誘しないものだ。そしてニュース・グループの渾沌さや変態嗜好のたまり場でもある腐った情報便所と猟奇的殺人、そして消費者と権力者が作り出した欲望としての殺人を見事にミックスさせた戦慄のホラー作品だ。今後も氏の作品には注目したい。