『サンティアゴ』感想めも


 マイク・レズニック『サンティアゴ』(創元推理文庫SF・上下)読了。人類主導の銀河帝国の勃興から30年後の<民主制>の時代、賞金稼ぎの間で有名な一人の男がいた。その男の名前はサンティアゴ。悪業の限りを尽くし、巨大な懸賞金がかけられたこの男は、数多くの賞金稼ぎからの追撃をかわしており、その正体は謎のままだった。そんな中、サンティアゴを求めて一人の賞金稼ぎカインが情報を求めてさ迷っていた。一方、冷酷かつ精確な賞金稼ぎエンジェルもサンティアゴの行方を追っていた。果たしてサンティアゴとは何者か、そして彼等はサンティアゴと対決することができるのか?

 『キリンヤガ』(ハヤカワ文庫SF)を読んで以来、もう一冊ぐらいレズニックを読もうかと思っていた矢先に本の山から発見されたレズニックでした。オムニパス形式で進行する物語は賞金稼ぎ、ジャーナリスト、コレクター、サンティアゴの視点から語られていきます。この進行方法は実にユニークで、視点が切り替わることでサンティアゴ探究への思いが読者へと伝えることでしょう。イメージ的には西部劇の宇宙版といえばわかりやすいでしょうか。このスペースオペラ的西部劇世界はそう、カゥボーイ・ビバップの世界を彷彿させます。こういう話がすきな人ならば絶対はまってしまうこと請け合いです。

 『キリンヤガ』を読んでいてレズニックの芸風を知っている人であればラストは想像がついてしまうのですが、そうでなくても一貫したテーマを持ち続けているレズニックの真摯さには心を打たれてしまいます。サンティアゴの正体を知ったときには、この作品自体を本当に好きになっている自分を見つけていることでしょう。ものすごくかっこいい話なんです、『サンティアゴ』は。個人的には殺人機械エンジェルと、遭難したときに宇宙船に改造されてしまったシュッスラーがいい味だしています。あと吟遊詩人のブラック・オルフェイスの語りが「西部劇」していてとてもかっこよくて、伝説が伝わっていくという雰囲気が出ていてとてもナイス。こういう引き込み方もあるんだと感心するし第でした。オススメの一冊!