『ロボット文明』感想めも


 ロバート・シェクリー『ロボット文明』(創元推理文庫SF)読了。最近購入した文庫本の整理をしていたときに、たまたまこの本が出てきたので読んでみた。「惑星オメガは地球で罪を犯した人々が送られる流刑の惑星であった。この世界は完全に地球から隔離され、犯罪者たちが独自のシステムを築き上げて惑星を自治していた。この社会は徹底的なヒエラルキー制度が施行され、善・悪の規範が逆転している世界だ。この社会ではより大きな悪事を働くことで出世することができる。そんな社会に人殺しの罪で送られることになった主人公バレントは幸運にも一人の狙撃者を返り討ちし、自由市民の地位を獲得し、毒薬屋を営むことになる。絶体絶命の危機に熱線銃を彼に手渡した謎の美女の行方をさぐるべく、彼は情報収集をはじめたのだが……。」というのがあらすじ。

 何だか似たような話を読んだ記憶があったと思っていたら、クラーク・ダールトンの『流刑の惑星』(ハヤカワ文庫SF)まさにその作品。気になって調べてみたら、ダールトンは1966年、シェクリーは1960年。ただシェクリーとダールトンのお話は主人公の立場がかなり逆転しているし、目的も転換しているのでその違いを味わうだけでも読む価値はあるだろう。倫理観の転換という部分は無法地帯でもルールは存在するという意味で面白い。というよりも、どんな社会でも最低限のルールが存在しなければだめということでしょう。(悪人だけの世界は成り立つのか、という倫理的問題を含んでいるといえようか。)オチについてはもう、「え、うそうそうそ?それってアーシュラ・K・ル=グィンの(自主規制)じゃん!」と叫びたくなります。もっと単純なオチ(悪い地球政府があって、それを倒すとか)を想定していたので、読み終えたきに結構びっくり。流石、シェクリイ。ダールトンの本と併せて読むと楽しさ倍増というお得な一冊。