レイ・ブラットベリ『何かが道をやってくる』(創元SF文庫)
何かが道をやってくる

 10月もあと数日で終わりですね。万聖節前夜(ハロウィン)一日前にこの本を読み終えるとは偶然とはいえとっても嬉しい限り。その本って何か?というと、いままでこの本を読んでいなかったのが悔やまれるくらいの名作でした。ぼくが感動してしまったその本とはレイ・ブラッドベリ『何かが道をやってくる』(創元推理文庫SF)でした。未読の本の一冊だったのですがたまたま文庫を整理しているときに、WONDERWORKZさんの回転木馬の表紙に惹かれて、序文を読んでみるとそこには何と素敵な魔法の世界が!

 多少思ったままを書き綴っているので、うまく表現できていないかもしれないですが、その辺りはまあご容赦ください。もしかしたら、ネタばれがあるかもしれないのでご注意。

 10月という月は何だろうか?日本でも神がいなくなる月だし。となると何かがぼくたちの後ろから忍び寄ってくるのだろうか?夏の生き生きとした生命のコーラスからどんよりとした調子の狂った、暗い季節への変わり目なのかなぁと思った。そんな物悲しい季節をブラッドベリは、カーニバルという刺激的だけど不気味なものがやってくることで、ぼくたちの中に眠る不思議を感じる力、好奇心、恐怖への想像力を見事に表現してくれた。

 主人公の少年たちは13歳。彼らは一晩にして大人になり、もはや永久に子供でなくなってしまった。回転木馬が回り、骸骨男が、そして刺青の男が、魔女がカーニバルとともにぼくたちを誘う。死への恐怖を逆手にとった「何か」は突然ぼくたちの前に現れる。魅力的なオファーと夢のような世界。でもそんな世界はあくまでも幻想に過ぎないのだ。「何か」はぼくたちの恐怖を増幅し、自滅するように我々を追いやる。そのことで「何か」はほくそえみ、ぼくたちはさ迷いつづけることになるのだ。ぼくたちの中に潜む本源的恐怖への恐れがこの本にはある。

 その意味ではファンタジーでもあり、ホラーなんだろうか。読書量が少なく、経験がないぼくには判断がつけられないけれども。ただ、一言いえることは凄い小説だ、ということだけだ。