おはよう(><;今起きたけど、間に合う(・・;?
大丈夫、お迎えまっています。o(^-^)o
メールの内容は随分簡単だったけど、胸の高鳴りは消えない。Neighboring Comfortabl days[2]
「おはよー佐藤さん!」
俺が迎えにいって、玄関が開くと、昨日のスーツとは違う、パーカー姿佐藤さんが俺を出迎えた。
「書類ちゃんと持った?」
「あ、アカン」
あーあ…なんて、笑ってみせると、ほっぺを人差し指で掻きながら、大きめの封筒を鞄に入れる。
昨日、結局帰ってからもメールをしていて、区役所に色々届けを出さなけりゃ行けないっていうから、今日は買い物ついでに区役所に行くんだ。実は十分寝過ごして三十分送れたけど、佐藤さんは怒りもしないで出迎えてくれた。優しいよなぁ…
「さ、行こか」
ラフな色褪せたジーパンの後ポケットに携帯を突っ込むと、佐藤さんはスニーカーを履いて、家の鍵を閉めた。俺は俺でトレーナーにジーパンなんだけど。寒いから上にジャンパーも着てる。
「あ!…上着忘れてもた、ちょっと待ってて」
大慌てで家に入って上着を持って出てきて、もう一度戸締まりを確認する。なんだか…ちょっと抜けてるんだけど、凄くそれが似合ってしまう人なのだ。
「えーと…財布もあるし…よし、今度こそ行こか!」
「うん!」
俺は今日、たまたま区役所近くのゲーセンで遊ぶ約束をしていて、午前中は佐藤さんを案内して、午後は遊ぶことになってる。ただ少し心配なのはバス亭が分かりにくいってとこなんだよな…行きのバス亭は近くにあってすぐに分る。二人でバスに乗って、一番後以外、そこしか開いてなくて二人並びの席に座る。
真直ぐの道沿いに、四階建ての百貨店があって、そこで必要なものは大体揃うことを佐藤さんに説明すると、カーテンの大きさが合ってなかったんよ、とまた苦笑した。昨日今日で何回、一人苦笑してたんだろう。きっと駅に降りてすぐもそんな顔をしていたのかもしれないな。
「リュータ、区役所の近くもお店とかあるん?」
「うん、変に偏った店とか、百貨店とか、駅前らしい駅前だよ」
区役所は駅の傍、駅はいつでも活気が溢れているような気がする。よく駅ビルの中のCDショップで新譜の予約もするし、漫画専門店は俺の捜していた漫画が簡単に手に入った。楽器屋も入っていて、バンドやってるダチと来ればギターとベースを見ないと帰れない。服も色々なのがあって、最近はストリート系の店を見て回ることもある。駅ビルじゃなければヒップホップの店もあるし、その奥にはゲーセン、手前にもゲーセンがある。カラオケもあるし、シルバーアクセの店もある。ゲームショップもあるから中古、新品問わずに手に入るし。バスで四十五分、自転車で三十分の微妙な場所だけど、俺の良く利用する町だ。
「なんか便利な所なんやね、迷子にならんか心配や…」
ほんの少し、顔を曇らせて、
「僕ねぇ…方向音痴だから」
苦笑して、外を眺める。東京の春休み、水曜日。道路は混んでいなかった。「おー!…ほんまに、駅前って感じや」
道路は混まなくても駅前は凄い人だ。もちろん、渋谷や池袋ほどじゃないけど、それでも俺なんかはよく人にぶつかる。
「区役所、行く前にバス亭確認しておこうよ」
俺が歩き出すと、上を向いていた佐藤さんは慌てて俺に付いてきた。バス亭は降車所は駅から向かって右手側のパチンコ屋の近くなんだけど、乗車所は駅から向かって左側、アーケードの右手に一本出た道で、ハッキリ言って解りにくい。しかも何本かのバスに乗れるから、間違えるととんでもない方向に行ってしまう。
俺は人込みを通り抜けながらバス亭に向かった。手前から三番目のバス亭が、今乗ってきたバスの逆の方向に走るバスだ。
「おーけー、絶対忘れんから大丈夫」
佐藤さんは自信満々にそう言ったけど、俺は「バス間違うたみたいや(;_;)」なんてメールが来るんじゃないか、なんて予想してしまった。「じゃあ、ちょっと待ってて」
区役所なんてあんまり来ないけど、以外と人がいる。俺は待ち合わせとか呼び出し待ちに使うロビーにあった長椅子に腰掛けた。
区役所まで来て、もうええよ、遊び行くんやろ、なんて追い返そうと(気を使ってくれてるんだろうけど)するから、まだゲーセン開いてないからいいよ、って区役所を出るまでは一緒にいることにした。さっき区役所に来る時、駅の中を通 り抜けたら、佐藤さんは何度も人にぶつかっててペコペコしていた。俺はあからさまに相手が悪い時って謝らないんだけど、佐藤さんはぶつかる度、すいません、と謝った。
書類の不備が合った訳じゃないみたいだけどカウンターを行ったり来たり忙しい佐藤さん。印鑑を出したりボールペンでサインしたり何か話したり本当に忙しい。俺は暇だったけど、佐藤さんを見てると面 白かった。すげえ不謹慎だな、俺。
あっちこっちをちょこちょこ動き回ってた佐藤さんが、ようやく俺の方に戻ってきた。
「ようやっと手続終ったわー。あとは確認してもらうだけやから」
にっこり笑う。封筒の中身は、さっきまではかなりパンパンだったのが随分ペラペラになっている。
隣に座って、一息。
「一人暮らしも楽やないね」
苦笑いして番号札を眺める。まだ早い時間だけどもうとっくに二桁の人数が待ってる時間だったみたいで、そのせいもあって時間が掛かっていたみたいだった。ぼんやりと話を続ける。結局なんだかんだでお昼直前まで待つハメになった。俺は平気だけど、佐藤さんはその間に缶 ジュースをニ本も飲んで、ちょっと待ち切れない顔をしてた。
「あ、僕の番だ…ちょっと行って来るわ」
慌てて立ち上がりまっすぐカウンターに向かう。また少し何か話ていて、終って帰ってきたら凄い安心した顔。
「お待たせな。今全部済んで、晴れて東京の住人や」
「うん、お疲れ様!」
俺が笑うと佐藤さんも笑う。佐藤さんはもらった書類とかを鞄に入れて、なんだか幸せそうに微笑んでた。
「電話のオペレーターのバイトしててね」
「へえ、どんなことやってたんすか」
「掛かってきた電話をそれぞれの部署につなげるだけやってん、楽やったよ」
「時給幾らで?」
「八百五十円」
「いいな、今俺がやってる所より全然!」
「リュータもお金いいバイト捜した方がええよ?僕、自分で何でも買うてたし」
「んー…まあ、あったらね。あれ、佐藤さん何番だっけ?」「リュータ?」
駅を通り抜ける時、佐藤さんに呼ばれてハッとする。
「ぼんやりしとったけど…どうかしたん?」
俺は危うく人にぶつかりそうになってたらしい。全然前なんか見てなかった。
「ああ、えと、なんでもないよ。あ、でもあの、ちょっと寝不足でさ」
自分でも挙動不振なのが丸判りな言い訳をする。実は考えてたのは…なんて、言えるはずもないよ。
佐藤さんはちょっと俺の顔を眺めて首を傾げたけど、すぐにまた向き直って歩き始めた。…佐藤さんの、ちょっと色の薄い瞳が俺を覗き込んでた。なんか…なんとなく、見透かされてるんじゃないのかな、本当に。以外と勘が鋭いのかも…また今、人にぶつかってるけど。結局、駅前で別れて、俺は駅の右手のゲーセンに向かった。
遊んでる間、出きる限りメールが来てないかチェックする。ダチには新しい彼女かとか、からかわれたけど、でも、気になって仕方なかった。
着メロは明るい曲、佐藤さんの髪の毛みたいな、そんな曲。ちゃんと帰れた〜(^ー^;=3今日は有難う、また色々教えてな☆
俺はようやくダチと遊ぶことに熱中出来た。
Neighboring Comfortabl days[2] to be continued!
リュータの遊びに行った場所、佐藤さんの用事があった区役所。
実は関東の同人屋さんやコスプレイヤーさんには馴染みの有る場所かも。
狼の地元で自転車で通える位置、
実は「蒲田」が舞台です(笑)Novel'sTop Next Back