{ゴースト物語}/第8章
「ほら、ここが船棄て場じゃよ。」
「うっわー!船がいっぱい。・・一番手前の、コレはなんですか?」
「スクーナーっちゅう船じゃ。手ごろで扱いやすく、スピードも出る。」
「・・・でも、マストが折れてる・・・・」と、もみぢがいう。その通りだ。
「見たところ、そこにある船しか使える船はなさそうじゃな。」
じいさんの指差した船は、小さな小船だった。
「ケッチって船じゃ。スピードが出て、小回りも利くがヘナチョコで
耐久力がない。1本マストに3枚帆。近海の漁業船としても使われている。」
「しかたない。コレに乗ろう。」
「頑張れ。あっと、ランデブーの時間すぎちゃった!あばよ!」マジンじいさんは
そういっていってしまった。
「よーし!総員乗船!ただちに出港だ!」リーフが威勢よく叫んだ。
みんながボロいケッチ船に乗る。
「ケッチ船しかないなんてケっチだなぁ、もう」と、もみぢがいった。
「・・・帆を揚げろ!・・ってどうやったら上がるんだ?」
「このロープかな?」リーフが近くのロープを引っ張った。
ギギギギギギィィィィィィィィ
「ひぇ〜、こんなの1人じゃ引っ張れないっす。誰か手伝って。」
「おう!」ロボが手伝った。
「ヒのフのミ、たぁっ!」ロボと一緒にロープを引く。
ギギギギギギィィィィィィィィ
「よし!揚がった!ロボってけっこう力もちじゃん。帆柱係やんなよ。
もみぢは舵手ね。僕は船室を見に行ってくる・・・おい!右舷前方に氷山!
早く左の旋回せんかい!」
再び、リーフは癖の大阪弁が出てきたが、偶然ダジャレになってしまつた。
「千回旋回せんかい!っていえばよかったのに」と、もみぢがいう。
もみぢが急いで蛇輪を回す。
「よし、よし、よけられた。氷山は、海上に出てる部分の何倍もの大きさの
氷が海の下にある事があって・・・おっと、いつまで旋回してる?
このままだと今度は船尾が氷山にぶつかっちまう」
もみぢもタイヘンだ。リーフは船室のほうへいった。扉を開け、船室に入る。
机の上に、望遠鏡が置いてあった。近くのタンスの中も調べる。一番上の段には
オセロゲームが入っている。中央の段は空。下の段はライフルが3丁入っていた。
ダンボールの中に、食器も入っている。リーフは望遠鏡とライフル3丁をもって
船室を出た。
「おい!ライフルが3丁あった。一応、みんなで1丁ずつ持っとこう」
もみぢはみんなにライフルを手渡した。
「望遠鏡もある。僕が見張り係になろう。」リーフはマストに登り始めた。
「よしなよ。落ちたら死ぬかもよ。」と、もみぢが心配する。
「大丈夫大丈夫。一番てっぺんまで登るワケじゃないし。」リーフは、マストの途中の
見張り台に腰掛けて、望遠鏡を覗いた。
「うんうん、島みてェなのが見える、あれがセキトバ?
ん?右舷前方に帆船!キャラック船かな?あ、旗をあげてる」
リーフは望遠鏡ごしに旗を見つめる。
「・・あのマークは・・・骸骨の髑髏じるし!海賊船だぁ!
ささささ、右舷前方に海賊船!とりかじいっぱい!逃げろ!」
と、リーフが叫ぶ。
「取り舵ってどっちだ?」と、もみぢが聞く。
「左だ!急旋回だ!」
海賊船は、こっちのケッチ船に気づいたようで、スピードをあげた。
ギシシシシギギギシシシィィィイイギィシィ!
「なんの音かな?ああ!風が強すぎてマストが折れかかってるんだ!
帆を1枚たたまなけりゃ!」ロボはそういって縄をとく。
ズドォォォォォォーーーーーーーン!
「たっ、大砲を撃ってきやがった!くそう、こっちには武器といえば
ライフルしかないよ・・・弾が飛んでくる!面舵35度!」リーフが叫ぶ。
ケッチ船は向きを変えた。リーフは望遠鏡で海賊の船内をを覗く。
「海賊たちは20人ぐらいいるな・・・でも、ピストルはもってないな・・よし・・」
リーフはライフルを握り締めて、・・・・ズキュン!!!弾を撃った。
海賊船の帆を狙ったが、いまいちうまく行かずはずれた。
「ロボ!お前も海賊船を帆を撃って!もみぢは蛇輪をはなすなよ・・」
ロボもライフルを構えた!ズキュン!ヒット!が、帆にちょっと穴が開いたからといって
たいした事ではない。突然、海賊線から爆発音がした。
ズドォォォォォォーン!!!!!
「弾が飛んでくる!ようし、取り舵いっぱい・・・よし、よけれた!」
大砲の弾は海に落ち、そこで茶柱をあげた。じゃなかった、水柱をあげた。
「あぶなかったねぇ。早くセキトバに着かなきゃ!方向がズレてる!取り舵5度!」
もみぢが少し蛇輪を左へ回す。
ズキュン!ズキュン!ロボがピストルを撃つ。帆に1発あたり、もう1発はそれた。
ズドォアアアーーン!
3度目の大砲・・・!
「あわわわわ!取り舵60度!」リーフは叫んだ。もみぢも頑張って
蛇輪を左を回す。・・・だが・・・
ドッカーーーーーン!!!
耳をつんざくような爆発音が、船尾のほうでした。
「行ってくる!」ロボがそういって船尾の船倉へ!階段をくだると、
壁に穴が空いていて、そこからドンドン水が浸水してくる。
「大変だな・・こりゃ・・ようし!」ロボは、近くの箱を穴のところへ持っていく。
体中、ビショ濡れだがそんな事を言っている場合ではない!
ロボは箱で、うまく水の浸水を止めて、甲板へ出た。
リーフは望遠鏡を覗いた。
「あれ?海賊線の近くに船が・・定期航路船かな?」
じきに、海賊船は、ケッチより豪華な定期航路船のほうへ進路をかえた。
「ふう、助かったみたいだね。セキトバへ直行だ!」
4、5分すれば岸に上陸できた。ロボがロープを近くの樹に結び付ける。
「おいおい、これはかた結びだ。もやいろすびしろよ。ここをこうやって・・」
リーフがもやいむすびを教える。
3人は荷物をもって出発した。
「だんだん、雨が・・雪・・・こりゃ、ヒョウになってきたぞ!」
氷の雨の中を傘をかざして進む。15分ぐらい経っただろうか?
「あ・・あれは?」
目の前には、看板が置いてあった。
『トチカン寺院』
「ここか!ここで、最初の道を右へ行くんだっけ?」
3人は、石垣の門をくぐる。
「ん?おい、あれは?」ロボが指差した先には岩があった。
岩の上に・・・まぎれもなく、もみぢを怪我させたスエゾー軍団がいる。
「気づかれないうちに、逃げよう!」
3人は、ソロソロは逃げた。やがて、十字路に出た。もちろん、右へ。
手紙に書いてあったことが本当ならここの先にマジポンがいるらしい。
「ウッ・・・」もみぢがいった。「傷口が開いちゃったみたいだ・・・」
「そりゃ、こんなヒョウじゃなぁ。大丈夫?ちょっと休むか?」リーフが声をかける。
「う・・ん・・・僕のリュックに薬が入ってたハズ・・」
もみぢはリュツックから薬を出して、傷口につけた。
しばらく休むと、3人は再び出発した。
「あっちに、なんかないか?」リーフがいった。
前方に、・・・氷塊と、テントがあった。
「あっちだ!急ごう!」
3人は、走っていった。
氷塊ののそばまで行くと、氷塊の中にはマジポンがいた・・・
氷づけというよりは、中が空洞の氷塊の中に閉じ込められているようだ。
意識はないようで、ぐったりと横たわっている。
ジィィィィ・・・と、音がした。
テントのジッパーが開いた音だった。中からモンスターが出てきた。
「さぁ、プラモデルをもらおうか?」そういったモンスターは
プラモデルの中の1つの模型と同じだった。
「ああ・・はい。似てますね・・・この模型とあなたは・・」
「ああ、だがこれはいわゆる他人の空似というものだ。名はレッドアイという。
赤眼蛇といわれているがな。」赤眼蛇は、プラモデルを受け取った。
「なんて読むんですかぇ?」
「赤眼蛇はセキガンジャと読む!」
<つづく>
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