{モンスター物語}/第1章


午前9時半頃、キロハ村のそばの海辺で、船がいま出港しようと
していた。といっても大きな船じゃないし港から出るわけでもないが。
この船は客船だが乗組員以外は数人しか乗れない。
そのぶん料金が安いのが魅力だ。そして出港したあとは
北の方へ進路を取り、しばらくして乗客が全員目的地へ
着いたらすぐ戻るという予定だった。
岸には、乗客を見送りに来たモンスターもいる。
その中にはマジポンとリーフともみぢもいた。
船の甲板にはシルバーがいた。
シルバーは、キロハ村に住むようになる前に
セキトバの山で暮らしていたことがあったので
この山にいる友達と会うため船でセキトバに
行くことにしたのだ。1ヶ月以内にはキロハ村に
帰ってくるという予定だ。

ポ〜ー〜ー〜ー〜!

汽笛が鳴り響き、ロープが解き放たれる。
「じゃーねーー!!!」
3匹は船の甲板にいるシルバーに手をふった。
「さいならー」
シルバーも返事をした。
船にエンジンがかかった。
船が岸から離れていく行く。
「はやくもどってこいよー」
リーフが自慢の大声でさけんだが、船はすぐ遠くにいって
しまっていたしエンジンと波の音がうるさいのでシルバー
はよく聞こえなかった。かわりに岸にいる色んなモンスター達が
迷惑そうにリーフをみた。リーフはそんなことは気に
していないが。しばらくすると船は見えないほど
遠くなっていった。岸で見送っていたモンスター達は
キロハ村に帰るために岸から歩きはじめていった。
「僕達も帰ろ。」
もみぢがいった。
「そうだね。」
マジポンともみぢとリーフもキロハ村にむかって歩き始めた。
海岸からほんの少し歩けばすぐにキロハ村に着く。
「ふはー。シルバーがしなくなっちゃうとちょっとさびしいね。」
「うん、まあね。」
しばらくするとキロハ村の門についた。
門番のカメンワームがあいかわらずぐーぐーと寝ていた。
「ふー。ちょっとその辺を散歩してこない?・・・」
リーフがいった。
「そーだね。」
マジポンが賛成した。
「じゃあ僕もいこっと。その前にちょっと
新聞の朝刊買ってこよっと。」
もみぢは門のそばの店にいった。
マジポンとリーフはもみぢが新聞を買ってくるまで
門のそばで待つことにした。もみぢは売店で朝刊を買った。
普段は20Gだが今週はバーゲンセールなので12Gだ。
ちなみにこの村に消費税は無い。
もみぢは10G札を2枚出して、店員から5G玉1つと
1G玉3枚を受け取り、新聞をもってマジポンともみぢと合流した。
「じゃ、ちょっと森でも散歩しよっか。」
マジポンがいった。
キロハ村のそばには海もあるが森もある。
この森はかなり広いのでこの森の地理をよく知っている
者は少なく、この森の正確な地図はほとんど無い。
「ふはーあ。今日は金曜日だからもうすぐあの店の
バーゲンセールも終わりかぁ・・・今日のうちに
いっぱい買っておかなきゃ」
ともみぢがいった。
「でも、あの店はバーゲンセールやったってあんまり
やすくならないからなぁ・・・オイリー・オイルなんか
普段200Gでバーゲンの時に190Gだから
5%しかやすくならない。」
とリーフがいった。
「そうだよ。そこへいくとシルバーの家の隣の隣の店は
600Gのアルタケーキが200Gになったりするから
うまくいけば価格が1/3になったりするよ」
マジポンもそういうのでもみぢは
「へいへい。じゃあ今度からそっちの店にいくよ」
といって新聞を取り出した。
もみぢはまず4コママンガを読んだ。
この4コママンガは人気なので本にもなっている。
もみぢは4コママンガの下の記事を読んだ。

【ウェーブプレスの恐怖!ハム大怪我!?
昨日リューンで行われた個人開催の大会で
3位決定戦のギガズ(グジラ)VSスピード(ハム)
の勝負で試合開始直後のウェーブプレスがハムに
クリーンヒット。10秒もたたないうちにKOとなった。
しかしこのハムは体中に骨折などの大怪我をおっており
医師には全治7ヶ月と診断された。ハムのブリーダー
のシナリンコクさん(仮名・28才)は、7ヶ月も経つと
能力が衰えてしまい入院費もバカにならないので
入院させずに処分しようと話していた。
一方、グジラのブリーダーのにタセシリイさん(56才)
は「自分の育て方に自信がついた」と笑顔だった。】

「あーあ。このハムはかわいそーだなー。近頃のブリーダーは
力ばっかり上げて丈夫さを軽視するからこんなことになるんだよ。」
とリーフがいった。
とはいえこういう事故は毎月のように起こるのでマジポン達は
それほど驚かなかった。
もみぢはその右の記事を読んだ。

【{ヤク}の規制?
一般的に使用されているタパウリン等の薬品使用について
大量に服用し続けるとモンスターに悪影響なため
使用が規制されることになった。ボムズとバーニングは
生後半年まで使用禁止、その他のトロロン、ナギール等の
薬は生後3ヶ月まで使用禁止となった。総メンバー76名の
モンスター保護協会のメンバーをベースとする住民が何名も
デモをしており、それによってこの規制が成立したが
保護協会の人はそもそも薬品を一生禁止すべきと主張。
しかし製薬会社の人々は「俺達の仕事をどうしてくれる?」
と反対。今も保護協会と製薬会社の対立は続いている。】

「ふーん。なんたって噂ではボムズやバーニングは
半年以上寿命を縮めるというからねえ。でもああいう薬類は
ある程度強くなってから使う人が多いらしいから
幼いモンスターの制限なんかしたってあんまり意味
ないんじゃないかな?」
「そーかもね。だいたいあんな薬を多用する人が多いから
モンスターの数がどんどん減少していくんだよ。ったく。」
「そーいえばメタルゲルの数がついにどっかのファーム
にいる1匹にまで減ったっていうも聞く。」
「まったくドーピングはホントに悪影響だよ。」
しばらくして、3匹は森にはいっていった。
<つづく>
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