{モンスター物語}/第5章
チュンチュンチュン・・・チュンチュン・・・
「小鳥の鳴き声・・・・ハッ!」
ペッチャはガバッと起きた。
洞窟の温泉の近くで寝ていたようだ。
「そうだった、わたしは波に飲まれて洞窟へ
きちゃったんだったっけ?」
ペッチャの周りを小鳥達が飛んでいく。
「はぁ・・・わたしのガァー人形はどこへ
いってしまったんだろう・・・・」
いままでペッチャはずっとそのことを考えていなかったが、
ペッチャは荷物はどこへ消えてしまっている。
「あれ・・・?・・・・足が・・・」
ペッチャの足に薬草のようなものが巻きつけてあった。
「だれがやってくれたんだろ・・こんなこと・・・」
と、その時、妙な音が近くから聞こえてきた。
ぐーーーぐーーーぐーーーぐーーー・・・
「だれかの・・・いびき・・・!?」
ペッチャはます左を見た。だれもいない。
昨日の夜(?)に置いた、光る石がいくつかあるだけ。
そして右を見た。
「なに・・・・・コレ・・・」
ペッチャの右には大きい真っ黒い塊があった・・・。
「ぐはぁ・・・昨日はこんなもの無かったのに・・・」
よく見ると、貝のようだった。
「温泉に住んでいる・・・わけないよねぇ・・
だって昨日は温泉を隅々まで探して石を拾ったんだから。」
ペッチャはその貝を触ってみた。ゴツゴツしている。
ものすごい硬さだ。そしてデカさもかなりのものだ。
「あんまり、おいしそうじゃないなぁ・・」
かなり妙な貝だ。
「謎の薬草といい、謎の貝といい、なんだかこのごろ
変な事ばっかり起こるなあ・・、そういえば・・・
この貝は生きてるのかな?死んでるのかな?」
ぐーーーぐーーーぐーーーぐーーー・・・
「また、変な音。この貝からしてるような気も・・・」
しばらくすると、音は止むが・・・
ペッチャはちょっと右足を動かしてみた。
「ほとんど痛く無い・・薬草の効果かな・・・?」
右足の先をまた動かして見たが、痛く無い訳ではないが
昨日に比べればかなり痛みがやわらいでいる。
ぐーーーががががーーぎーーげーー・・・!
「な・・・何の音!?」
貝から、なんと中身が出てきた。
そして、低い声でいった。
「あぁぁぁーーあ。良く寝た・・」
ペッチャはおどろいてそこから逃げ出した。
5、6歩あるいて、立ち止まって振り返った。
「おはよう・・・朝が早いねえ・・・」
貝がしゃべっているようだ。
「あふ、あああふふ、あふふふふ・・・」
「なにやってるんかね?」
こんなものを見るのは始めてだ。
「・・・そういえば足どうなったい?」
そういわれて、ペッチャは自分の足を見た。
もしてかして、この貝が薬草を貼ってくれたのかな?
「あ、この薬草・・・その・・はぁ・・」
「そうじゃ。わしがやったんじゃ。」
「はぁ、どうも」
「・・・ところで、君、だれ?」
「・・・・・名前・・?」
「名前は、なに?」
「ペッチャ・・」
「あっ、そう。」
しばらく沈黙が続いた。
「あの・・・あなたは?」
ペッチャが口を開いた。
「わし?・・・わたしはアッシュだ。1才0ヶ月」
「どうも、はじめまして・・・」
「で、君、なに?」
「だから、ペッチャだって・・・」
「そうじゃなくて、なぜここにいる?」
「さぁねぇ・・・?」
「・・分からないのかね?」
「気づいたら、ここにいた・・・の」
「そうかそうか。そりゃよかったのう」
なんかかなり謎な貝だ。
老人っぽいしゃべかただが、1才0ヶ月ということは
まだまだ子供のようだ。ペッチャもまだ子供だが。
「ところで、ペッチャよ・・・」
いきなり呼び捨てかい!・・・と思ったが言わなかった。
「なーに?」
「そなたの足の具合はどうでぇ?」
「ほとんど痛く無い・・。おかげさまで」
「そうだ、こっちに来るかい?」
アッシュは、洞窟の奥を指差した。
ペッチャはまだ行ったことの無いところだ。
「案内してしんぜよう。」
「本当?」
「わしはもう1年もここにおるんだからのー。」
「ということは、生まれてから、ずっとここに?」
「そうじゃ、そうじゃ。ほら、こっち」
ペッチャはアッシュのあとに続く。
ペッチャは突然、おもいついた。
もし、このアッシュとかいう爺さんが、
悪者でもわたしを罠にはめようと案内しているのでは?
でも、そんなこと言えないし・・・まあ、いいや。
「あっ!」
ペッチャは振りかえる。昨日ひろった、緑色の石が目についた。
「これ、1つ持っていこうっと・・・」
いったん戻って、石を1つだけ取って、ずくに
アッシュの所まで行く。かんたんに追いついた。
「ちゃんとついて来てるかぇ?」
「はいはい、だいじょうぶ」
「こっち、こっち。」
T字路を2つ通った。1つ目は左に曲がり、
2つ目を右に曲がった。道順は覚えていたほうが
よさそうだが、メモ用紙などもう持っていないので
暗記することにした。まぁ、このぐらい覚えられそうだ。
と、いっておいて忘れるという事は、ペッチャの日常生活
ではよくあることだった。
しばらくすると十字路に出くわした。
「ここをまっすぐ行くんじゃ」
左→右→まっすぐ・・・か・・・
しばらく進む。ちょっと大きい、広間のようなところに着いた。
地面はなんだか砂のような感じになっている。
「こっち、こっち。」
広間を突き抜けて通路を進んでいく。また広間に到着。
なんか、さっきまでいた、温泉や川のある
広間に戻ってきた・・・ような気がする。
「戻って来たんじゃない、こういう広間がいくつもあるんじゃ」
アッシュはそう言って笑った。
<つづく>
第6章へ進む