{モンスター物語}/第9章


ペッチャとアッシュはパー・プリンと別れてさらに広間を
進んでいった。
「ねぇ、アッシュ・・・」
「なんじゃ?」
「なんであのプー・パリンとかいうのはアッシュの名前は
覚えているのに私の名前はすぐ忘れるの?」
「プー・パリンじゃなくてパー・プリンじゃ。あいつとわしとは
長い間この近くで暮らしてる。いくらなんでも古くからの
友達ぐらいはパー・プリンだって覚えてるさ。」
「ふ〜ん。」
「だから、君がここでずーっと暮らしていればそのうち
パー・プリンも君の名前を覚えてくれるじゃろうて。」
「そうかなぁ。」
でも、ペッチャはこんなところに長くはいたくなかった。
「んーと、あっちの池にもたしかあいつがいたんじゃたな。」
アッシュが池の方に行く。ペッチャも付いていく。
池にはカエルが跳ね回っていた。
「あ、カエルだ。」
「あれがケロッパーのフロッガー君じゃ。」
カエルは元気に池を跳ね回っている。
「へんなやつ!」
「まぁ、元気だからいいではないか。」
ペッチャとアッシュはそこを離れてさらに歩いて行く。
「ほら、これを見てごらん。」
アッシュが地面を指差した。
「ん・・・・・?」
ペッチャも下を向いた。
「なにこれ。あしあと?」
土と草の地面に、とても大きい足跡がある。
「これは、なに?・・・誰の足跡?」
「こりゃあな、ポセイドンという水巨人のあしあとじゃ。」
「ここには巨人がいるの・・・?」
「いや、この近くの海の島で暮らしていて、たまぁに、
この洞窟に訪れるんじゃ。力があってなかなん頼もしいヤツじゃ。」
「ふむふむ」
「じゃあ、そろそろこの広間を出て他のところにも行くか。」
「うん」
アッシュは広間の出口を出た。ペッチャもあとに続く。
「ペッチャ、このまえわしが書いた地図を覚えとるか?」
「ぜんぜん覚えてない」
「・・・あ、あ・・・十字路だ・・・」
「あ、たしかここで左の曲がると何も無い広間に着くんだっけ?」
「なんじゃ、ちゃぁんと覚えているではないか・・・・」
「まあね。」
「・・で、どっちに進みたい?」
「前、右、後ろ、左のどれかねぇ・・・」
「・・・・・・」
「左は行き止まりらしいし、後ろはいま来た道だし・・・
前か右ねぇ・・・」
「どっちに行きたいんじゃ?」
「右に、曲がろうかな・・」
「右か?」
「うん」
「では、行こ。」
アッシュとペッチャは通路を右にまがった。
普通の通路が続いている。もっと進むと多分
Dの場所に着くのだろう。
たしか、アッシュはDのところから海にでれるって
言ってたっけ?・・・?
この洞窟の地理を教えてもらったときはいい加減に
聞いていたつもりだったが、ペッチャはいちおう覚えていた。
「なかなか着かないよー」
「まぁ、そうあせることはない。我慢じゃ、我慢。」
「我慢ってたってさ・・・・」
ペッチャとアッシュは歩く。
「あ?・・・光だ!」
洞窟の通路の向こうに、光が見えている。
「あそこから海の岸に出れるんじゃー」
「やっほー」
タッタッタッタッ!
ペッチャは走っていった。
「わぁ・・・」
洞窟の穴から出た。海の海岸の崖・・・崖の壁の
小さな穴から出た。しかし、数m下はもう海だ。
足をすべらせたら落ちてしまう。
陸に上がるには、ペッチャの出た穴から
10mぐらい崖をのぼらないとダメだ。
しかし、崖の、ペッチャのそばはとっても
綺麗な場所だった。水の濡れてキラキラと光る
青い珊瑚礁があちらこちらに見える。
「うわぁ・・・・綺麗な景色だなぁ・・・」
アッシュがペッチャのとなりに来た。
「そうか?わしはここに住んでいるから
さほど綺麗とは思わんが・・・」
「・・・・」
まぁ、たしかに綺麗なものも何度も見ていると
つまらなくなるものだ。アッシュが口を開いた。
「君がなんでこの洞窟に来たのかは知らんが・・・
ともかく、いったん陸に上がってここの近くに
君が来たことがあるか調べてみてしどうじゃ?」
「そうだね・・・・・でも・・・」
「崖は、けっこう簡単にのぼれるぞ。」
「うそー・・・」
「ほいっ、そっ、はっ、さっ、とっ、たぁー!」
アッシュは驚くべき速さで崖を登っていった。
「待ってよ〜!・・・よいしょ、よいしょ・・」
なかなか急な崖だし・・・落ちたら・・・
「ああっ!」
ガララッ!
ペッチャのつかんだ石が崖から外れた。しかしなんとか
ペッチャは崖にしがみついていた。
「ぐは・・・・よいしょ、よいしょ」
ペッチャは頑張って崖をのぼりきった。
「あれ?・・・こんなとこ来たことないよ。」
「ソウカ。残念じゃ」
「洞窟に戻ろうよ・・・」
「よし、さっ、とっ、はっ、やっ、こぉー!」
またアッシュはすごいスピードで降りていった。
ペッチャもアッシュをマネしてみたくなった。
「よーし、行くわよー!」
「・・・・?」
「ひっ、はっ、ふっ、へっ、きっ、あらら?」
ガラガラガラ
「こら、慣れてない君がそんな降り方をしたら・・・」
ガラガラガタガタガタ・・・・
しかし、もう遅かった。
ペッチャは足をすべらせて海にまっさかさまに落ちた。
バッチャーン!!!
「うぁぁぁ!!!助けて、たすけ・・・・ああ・・・」
ペッチャはそのままおぼれてしまった。
そしてまたもや気を失った。
<つづく>
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